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2019.08.28

創業101年の象印がWeWorkで狙う「ブランド革新」

  • Interview
  • イノベーション創出
  • コミュニティ形成

今回お話を伺ったのは、象印マホービン株式会社の新事業開発室マネージャー岩本 雄平さんと栗栖 美和さんです。

今年で創業101年目を迎える象印マホービンは、家庭用品ブランドとしての深化と、「食」と「暮らし」のソリューションブランドへの進化を実施するため、ブランド革新という経営方針を掲げ、昨年11月に新事業開発室を発足。今回は、そんな新たな試みに挑む新事業開発室のお二人に入居企業とのコラボレーションや WeWork で実施するユーザーテストについて、お話を伺いました。

社長のお墨付き!?「異業種との交流」に魅力を感じ、2週間で入居

ー御社の事業内容に関して、具体的にどのようなことをされているか教えてください

岩本さん(以下敬称略):弊社は、主に炊飯ジャーなどの調理家電、加湿器などの生活家電、ステンレスボトルなどのリビング製品の製造・販売を通じて、生活者の「くらしを創る」ことをミッションとしています。

私が所属している新事業開発室は昨年の11月に設立され、生活者の新たな「くらしを創る」ようなモノ・サービスの創造を目指して活動しています。

ー新事業開発室はどのようにして発足したのでしょうか?

岩本:新事業開発室ができた理由の一つには、今年で創業101年目を迎えることもあり新たなブランディングが必要となったことがあります。これまでのブランドイメージを守るだけではなく、新しいブランド価値を生み出すことで象印のイメージを大きく進化させていくことが求められています。

また、弊社の社長も以前に新事業開発に携わっていたのですが、当時なかなか満足いく製品を出せなかったそうです。ただ、その時の苦労や経験が今の象印に繋がっているという実感があったため、次の世代にも同様の経験を積ませたいという想いもあるようです。

ー WeWork の入居背景を教えてください

岩本
:元々WeWork のことは「マツコ会議」で知っていましたが、弊社はいわゆる老舗企業なので WeWork で働くイメージはありませんでした。ですが、部署発足にあたり、実は経営企画部からの提案で WeWork を検討することになりました。その理由としては新規事業を生み出すには異業種との協創が必要と考えたこと、その上で異業種との出会い・交流の場がある WeWork は非常に魅力的であったことが挙げられます。

もちろん他の場所も検討しましたが、私達はシェアオフィスという観点ではなく、あくまでも出会いが生まれる場所を求めていました。ですので、入居メンバーの数、スタートアップやメーカーと知り合う機会があるかどうかという軸でみたときに WeWork はぴったりでしたね。

栗栖さん(以下敬称略):WeWork の内覧ツアーは新事業開発室メンバーの4人で参加しました。窓から見る景色がとても綺麗で開放的なオフィスデザインにテンションが上がりました。

岩本:別の入居企業さんから「WeWork に入居するために、経営陣を説得するのに苦労した」という話をよく聞きますが、弊社はもともと経営企画部が WeWork を提案してくれたこと、そして社長自身が「新事業開発室は WeWork のような場で仕事するべき」と理解をしてくれていたこともあり、2週間ほどで入居が決まりました。

社長も「こういう環境の方がアイデアが生まれやすいでしょ」と言ってくださったのを覚えています。社長が新規事業開発で様々な経験をしていたからこそ、WeWork への入居に関しても抵抗感がなかったのだと思います。

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新事業開発室マネージャー 岩本 雄平さん

異業種との交流で知る、象印の”秘めた可能性”

ー WeWork 入居後、どのような反応がありましたか?

岩本:冒頭でも述べましたが、今年で創立101年目ということもあり「老舗企業が WeWork に入居している!」と驚かれる方が多く、ブランディングに良い影響を与えられているのではと感じています。名刺の住所に WeWork と書いてあるだけで会話のアイスブレイクになったりと、この意外性がブランド価値を上げてくれているように思います。

同じビルの6階に弊社初の常設レストランである象印食堂が入っているのですが、別部署の人間がクライアントとの会食の際に「実は新事業開発室が WeWork に入居しているんですよ」と私達のことを紹介してくれることもあります。

栗栖:それ以外では、WeWork のイベントでご一緒した外部の方から紹介を受けるケースもあります。実はこの出会いがきっかけで、現在私が構想している新規事業の開発を一緒に行っていく予定です。

同じ会社の人間同士では新しいものは生まれづらいと思います。自分達だけでは狭い知識の中でしか発想できませんし、仮にアイデアが出たとしても、それを具現化する手段をそんなに持ち合わせていないからです。違う分野の方と一緒に話をするからこそ、今までと全く異なったものが生まれるのだと思っています。

なんばスカイオにはMakuakeさんが入居されているのですが、入居してからすぐに声をかけてしまいました!(笑)コミュニティスペースのカウンター席で作業していた時に営業の方が商談をされていたのですが、ユーザー観点の考え方やビジネス視点に感動して、自分から声をかけました。WeWork では、このように全く異なる業界の方ともすぐに繋がることができるので、ネットワークの構築に大いに役立っています。

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なんばスカイオの6階には象印初の常設レストラン「象印食堂」が入っている

ー WeWork では、実際にどのような取り組みをされているのでしょうか?

岩本:上長からは、新規事業アイデアを1人1件提案する、というお題をもらっていました。まずはアイデアを生み出すことから始めようと思い、イベントを通じて知り合ったメンバーさんとビールを飲みながらアイデア出しをしたこともありますね。

また、コミュニティチームのサポートのおかげで様々な入居企業とコラボレーションの実現ができています。入居当初、コミュニティチームに自社の紹介をする場を設けたいことを伝えたら、隣の部屋に入居されている水島運輸さんとTGIM(毎週月曜日に開催するイベント)でのコラボレーションを勧めてもらいました。

最初は運輸会社とどんなことができるのか想像つかなかったのですが、実はメインの業務が人材派遣で最近は花かんざしという仕出し料理屋さんも運営されているとのことでしたので、象印×花かんざしさんのコラボイベントとしてTGIMを実施しました。

具体的には私達が自社製品の炊飯ジャーで炊いたご飯を花かんざしさんに提供し、花かんざしさんでおにぎりにしてもらっておかずと共に皆さんに振る舞いました。約4升のお米を用意して100個ほどおにぎりを作ってもらったのですが、イベント開始30分ほどで全て提供し終わってしまうくらい盛況でした。

コミュニティチームの紹介がなかったら水島運輸さんとのコラボは実現できなかったかもしれないので、出会いのきっかけをもらえたことに感謝しています。また、このイベントをきっかけに別の企業さんからもイベントコラボの依頼があったりと、新たなビジネスの機会もいただいています。

岩本:また、入居企業とのコラボレーション以外に、WeWork はユーザーテストの場にも最適だと思います。実は栗栖が出汁を使ったビジネスを構想しており、今年の1月にパントリーに出汁が入ったディスペンサーを置いて、入居者の皆さんにフィードバックをもらうユーザーテストを実施しました。

事前にWeWork アプリやパントリーで声がけをして、1週間実施したところ1日平均約80人の方が参加してくださいました。実はユーザーテストの途中で出汁が足りなくなるほど大反響をいただいたくらいでした。皆さん、新しいことへの関心が強いことから、味や取り組みに対して丁寧にコメントを書いてくださり、とても参考になりました。

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新事業開発室 栗栖 美和さん

ー 今後の展望を教えてください

岩本:なんばスカイオに入居しているTabioさんが積極的に海外の WeWork を販売網として使われているという、考えもしない活用方法に更なる魅力を感じました。今後は WeWork のネットワークをもっと活用して、販売の面でも象印の可能性を探っていければ面白いなと思います。

栗栖:私は、将来的にはアフリカのようなお米の文化がない国に和食文化を広めていきたいですね。弊社は炊飯ジャーが主要製品となるため、主な対象は米食文化がある国になります。しかし、世界中で和食が注目されているので、お米を使わない国に対しても象印としてできることがあるのではと感じています。

本来であれば、市場調査やアイデアのブラッシュアップに労力や時間がかかってしまいますが、WeWork であればグローバルネットワークを通じて気軽にリサーチができるのではないでしょうか。