
公開日:2020.11.19 | 更新日:2021.03.16
テレワーク導入の際に参考にすべき、厚生労働省の「モデル就業規則」とは?
働き方改革の推進と新型コロナウイルスの感染拡大により、テレワークを導入する企業が増加の一途をたどっています。テレワークの導入において必要な準備のひとつに、就業規則の変更があります。
ほとんどの就業規則は、会社へ出勤することを前提としたものであるため、テレワークを導入するにあたって変更が必要になります。本記事では、厚生労働省のモデル就業規則を参考に、テレワークに即した就業規則の変更方法を紹介します。
増えるテレワーク導入企業
働き方改革の推進、そして新型コロナウイルスの感染拡大により、最近では在宅勤務をはじめとするテレワークを導入する企業が増加しています。2019年に総務省によって発表された「通信利用動向調査報告書」によると、テレワークを導入している、または具体的な導入予定があると回答した企業は29.5%であったことが分かっています。前年の2018年の26.1%と比べると、3.4ポイント増加しています。
年々増加傾向にあったテレワークですが、2020年は新型コロナウイルスの感染拡大により、テレワークの導入率が急激に増加しました。2020年4月に東京都が実施した「テレワーク導入率緊急調査結果」によると、2020年3月と比べて、テレワークを導入している企業が2.6倍の62.7%まで増えたことが明らかになっています。
新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着くにつれ、通常のオフィス勤務へと戻る企業もあるかもしれませんが、今回の出来事をきっかけに、テレワークという新しい働き方は定着し、さらに増えていくことが予想されます。

モデル就業規則とは?
モデル就業規則とは、厚生労働省によって作成された就業規則のひな形のことです。労働時間や賃金など、労働にかかわる重要事項が明確に記載されており、従業員と企業の間でトラブルが生じないようにするために、あらゆる職場で必要とされています。
一般的には、勤務態勢に関わらず、既存の就業規則をそのまま適応させることが可能です。しかし、在宅勤務など、通常勤務では生じない勤務内容やルールが生じる場合は、就業規則を変更する必要があります。
就業規則に入れておきたい6項目
続いて、厚生労働省のモデルを参考に、テレワークの就業規則に入れておきたい主な項目を6つ紹介します。
項目① テレワーク対象者
まず、社内でどの従業員がテレワークの対象者となるのかを明確に定めておく必要があります。テレワークを希望するすべての従業員に許可するのか、それとも勤務年数や家庭環境(育児や介護など)を条件として提示するのかによって、書くべき内容は大きく異なります。就業規則を目にした従業員が困惑しないように、テレワークの対象者は明確に記載しておきましょう。
項目② 労働時間
テレワークの導入にあたって、通常の労働時間制をそのまま引き継ぐケースや、フレックスタイム制を導入する場合など、勤務体制は会社によってさまざまでしょう。テレワークにおいては、より柔軟な働き方が可能になるため、しっかりと労働時間や休憩時間に関するルールを定めておく必要があります。
労働時間の管理が難しいからといって、労働時間を曖昧にしたり、長時間労働をさせたりするのは理想的ではありません。自宅であっても、残業をすれば、もちろん残業代が発生します。テレワークの労働時間は、従業員との間でトラブルが生じやすいポイントであるため、しっかりと細部にわたって記載しておきましょう。
項目③ 勤怠管理
テレワークでは、通常の勤怠管理をそのまま行うことが難しいため、新たな勤怠管理の方法を決めておく必要があります。メールや電話を使って報告をしたり、インターネット上の勤怠管理システムを活用したりなど、さまざまな方法があるため、できるだけ具体的に就業規則に盛り込んでおきましょう。また、日常的に業務報告を行う手段も一緒に記載しておくと、より安心です。

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項目④ 給与
テレワークを導入する際の給与に関しても言及が必要です。ただし、テレワーク勤務を導入したことを理由に、給与を減額することは禁止されています。通勤手当に関しては、実際に通勤した日数の分だけ実費を支給するなどといった対応が可能です。労働時間とともに、従業員との間でトラブルになりやすいポイントであるため、慎重な対応が求められます。
項目⑤ 経費の負担
従業員が在宅勤務するにあたり、ネットの通信費用や光熱費など、会社側がどこまで負担するのかを明確に取り決める必要があります。光熱費や水道代などは、私生活で使用した分との切り分けが難しいため、定額負担や割合負担など、細部まで従業員と一緒に決めておくと安心です。
項目⑥ 安全衛生や災害時の決まり
テレワークでは、従業員が自宅やコワーキングスペースなどの好きな場所で勤務することが可能なため、災害時の対応に関する就業規則を変更する必要があります。従業員のテレワークに対する不安を解消できるように努めましょう。

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就業規則を作成する際の注意点
最後に、テレワークの就業規則を作成する際に注意したいポイントを紹介します。就業規則を変更する際の参考にしてみてください。
注意点① 既存の就業規則ごと変更する必要がある
従来の就業規則は、会社へ出勤することを前提として作られたものであるため、テレワークを導入するにあたっては、既存の就業規則を丸ごと変更する必要があります。「テレワーク専用の就業規則を別途作成すればいいのでは?」と思うかもしれませんが、それでは2つの就業規則の間に相違が出てきてしまう可能性が高いです。
労働時間や勤怠管理など、直接的に関係する箇所だけでなく、全体的に修正する必要があるため、これを機に既存の就業規則を見直してみるのもいいかもしれません。
注意点② テレワークでも労働条件を不利益変更してはならない
不利益変更とは、労働条件を引き下げることを意味します。具体的には、テレワークに移行することを理由に、給与を減額したり、定期昇給を停止したりすることなどが挙げられます。
テレワークの導入に伴って就業規則を変更する場合、その変更が不利益変更にならないように注意しなければなりません。不利益変更をしてしまうと、従業員との間でトラブルが発生するだけでなく、企業イメージの低下を招くことにもなるため、変更の際は十分に注意しましょう。
注意点③ 従業員に直接説明を行う
就業規則の変更を行う場合は、変更内容に関して従業員に相談・説明するようにしましょう。事前に従業員と一緒に確認しておくことで、トラブルの発生を防ぐことができます。特に、テレワークにおける費用負担は、従業員の意見をヒアリングすることで、お互いに納得のいく就業規則へと仕上げることが可能です。

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テレワーク導入時は「モデル就業規則」を参考に!
この記事では、新しく普及している働き方、テレワークの導入に伴って、変更が必要となる就業規則について紹介しました。テレワーク導入前に、労働時間や賃金などの重要事項をしっかりと決めておくことにより、導入後のトラブルを未然に防ぐことが可能になります。テレワーク導入の際は、厚生労働省より公表されている「テレワークモデル就業規則」を参考に、新しい働き方に即した就業規則へと変更を行いましょう。
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* 2020年11月時点
参考:
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/pdf/HR201900_002.pdf
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2020/05/12/documents/10.pdf
https://www.tw-sodan.jp/dl_pdf/16.pdf
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000118951.pdf
・本記事の内容は、公開日時点の情報をもとに作成しています。
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