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公開日:2020.12.11 | 更新日:2022.05.17

ナレッジマネジメントとは?重要性や導入方法・企業の事例について解説

ナレッジ働き方改善イノベーション創出

ナレッジマネジメントとは、従業員一人ひとりが持つノウハウを企業内でシェアすることで、企業全体の業務効率を向上する手法です。経営者ならしっかりと把握しておきたい経営手法のひとつといえるでしょう。とはいえ、実際にこのテレワーク時代において、なぜナレッジマネジメントが重要なのか、その理由を把握できている人は多くないかもしれません。本記事では、ナレッジマネジメントの基礎知識や、テレワーク時代におけるナレッジ蓄積・情報共有の重要性について解説します。

【目次】

  • ナレッジマネジメントとは?
  • ナレッジマネジメントの考え方・基礎的な理論
  • ナレッジマネジメントの導入事例
  • テレワーク時代における情報共有・ナレッジ蓄積の重要性
  • 情報共有をしないと起こりうる問題
  • 情報共有を進める上でのポイント
  • まとめ

 

【この記事は約5分でお読みいただけます】

ナレッジマネジメントとは?

ナレッジマネジメント(知識経営)とは、従業員個人が持つ知識や経験を企業内でシェアすることで、企業力を高めていく経営手法です。勤務年数が長いベテラン従業員だけが持っているナレッジやスキルを「形式知」としてデータ化し、他の従業員と共有することにより、企業全体としての生産性や競争力を高めることができるという仕組みです。

ナレッジマネジメントが重要視されるようになった背景には、時代の流れとともに、日本での働き方が変化していることがあります。終身雇用制が当たり前だった従来では、ベテラン社員から部下へと、自然にナレッジ・ノウハウの継承が行われていました。

しかし、働き方改革により多様な働き方が容認されるようになるにつれ、ナレッジ・ノウハウの継承を従来のように自然に行うことは容易ではなくなりました。そこで、ベテラン社員の経験や知識をデータ化して社内共有するというナレッジマネジメントが広まったのです。

さらにテレワーク時代では、それぞれの従業員が離れた場所から勤務するケースも多いため、優秀な従業員のノウハウをデータ化して共有しておくことが求められます。これまでは自然に行えていた知識の継承を、テレワーク時代ではナレッジマネジメントを通して行う必要があるでしょう。

ナレッジ イメージ
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ナレッジマネジメントの考え方・基礎的な理論

ナレッジマネジメントには、「形式知」と「暗黙知」の2つの知識タイプがあります。ナレッジマネジメントの基礎理論を把握するためにも、両者の違いや、どのような効果を生み出すのかを確認しましょう。

 

形式知

形式知とは、誰が見ても理解できるものです。具体的な例を挙げると、仕事のマニュアルをイメージすることができます。テキストや図を用いて体系的に表現されており、組織的に共有するのに活用できます。また、形式知は、客観的な知識に基づいて構成しているため、特定の人物の考え方に依存することなく、誰もが利用しやすいのがメリットです。

 

暗黙知

一方で、暗黙知とは、具体的な方法や手法、説明などを明文化していないものを指します。特定の人物しか持っていない知識やスキルであるため、客観的な視点でマニュアルを作成することができません。

 

また、形式知は組織全員が参考にし、各々のスキルアップにつなげられていました。暗黙知は個人のレベルアップには期待できますが、組織への還元が難しいのが特徴です。

 

ナレッジマネジメントの導入事例

ナレッジマネジメントは、どのようなビジネスシーンで活かされているのでしょうか。企業の課題を解決するためにも、多くの現場でナレッジマネジメントの導入が進んでいます。

 

ソフトウェアメーカーA社

ソフトウェアメーカーA社では、製品開発のプロセスに課題を抱えていました。製品開発における最終プロセスでトラブルが生じており、生産性を改善するためにナレッジマネジメントの導入を開始しています。

 

課題を解決するにあたって、開発プロセスの全担当者で情報を共有することを決めました。各工程の設計者、技術者のナレッジを蓄積していくことでトラブルを最小限に抑え、業務の効率化に成功しています。

 

システムソリューションB社

システムソリューションを提供するB社は、顧客への利便性を向上するためにナレッジマネジメントを導入しています。各顧客にカスタマイズしたサービスをほかの顧客に転用することが難しく、全体的なサービス品質の低下が課題でした。

 

そこで、従来の製造中心のビジネスモデルから、受注設計生産のビジネスモデルに移行しました。開発者側で顧客のニーズに関する知識を蓄積していき、製品設計の柔軟性を向上させています。

 

通信会社C社

大手通信会社のC社では、ナレッジマネジメントへの取り組みの一環として、従業員同士のコミュニケーション作りを工夫しています。たとえば、従業員のデスクを固定化しないフリーアドレスや、交流を深められるリフレッシュゾーンなどを設置し、気軽に情報交換できるような環境を整えました。

 

また、オフラインの場だけでなく、全従業員が自分の紹介ページを持つことで、オンライン上でのコミュニケーション機会も促進しています。結果として、従業員の関係性を向上させ、ナレッジ共有の文化を植え付けることに成功しました。

テレワーク時代における情報共有・ナレッジ蓄積の重要性

続いて、なぜ企業内でナレッジマネジメントを行う必要があるのか、その重要性について紹介します。

・作業の効率化

ベテラン従業員の業務フローや顧客への対応などといった業務全般に関するナレッジ・ノウハウを可視化することで、作業の効率化を図ることができます。

特に、上司やほかの従業員に気兼ねなく質問することが難しいテレワークにおいて、データ化されたノウハウは非常に役立ちます。また、従業員は業務に関して不明点があった場合、マニュアルを参照して業務に取り組むことができるため、同じ質問の繰り返しがなくなり、作業効率が向上します。

・属人化を防ぐ

属人化とは、業務ごとに担当者が決まっており、担当者がいないと業務の対応ができない状態のことを意味します。属人化は、基本的にネガティブな経営状態として捉えられており、「特定の従業員がいないと仕事が回らない」というのは企業にとってはもちろん、従業員にとってもリスクが高い状態だといえます。

ナレッジマネジメントを行うことにより、業務の属人化を防止または解消することができます。業務の担当者だけが知っている業務の効率的な進め方を可視化、いわゆるマニュアル化しておけば、ほかの従業員が代わって対応することが可能です。

特にテレワーク下においては、従業員がそれぞれ離れた場所で業務を行うため、属人化が進みやすいので注意が必要です。テレワーク開始前、もしくは開始直後に担当者のナレッジを可視化し、社内全体で共有しておくといいでしょう。

・ノウハウ・知識の共有によるスキルアップ

ナレッジマネジメントの導入により、関わっている社員全員が業務に必要なノウハウにアクセスできるようになるため、従業員のスキルアップにつながります。

また、社員がノウハウにアクセスできる環境を整えることで、従業員全体のスキルを底上げすることができます。「従業員によってスキルの差が激しい」「従業員の能力のバラツキを抑えたい」などという課題を抱える経営者にとって、ナレッジマネジメントは理想的な手法といえます。

スキルアップ イメージ
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情報共有をしないと起こりうる問題

ここまでで、ナレッジマネジメントの重要性・メリットについて紹介しました。その重要性をもう少し深く理解するために、企業内でノウハウの共有ができていないとどのような問題が発生するのか見ていきましょう。

ナレッジマネジメントがうまく行えていない企業内では、「業務効率の低減」「業務の属人化」「人材育成の失敗」などといった問題が発生します。いずれも、企業の経営状態に悪影響を与える問題といえるため、できるだけ早いうちにナレッジマネジメントを取り入れ、問題を解消することが望ましいでしょう。

情報共有を進める上でのポイント

最後に、ナレッジマネジメントを推進していく上で、気をつけておきたいポイントを2つ紹介します。

ポイント① 従業員の意識を変える

ナレッジマネジメントは、社内のベテラン従業員や優秀な従業員が自身のノウハウをほかのメンバーに提供することによって成り立っています。彼らが「自分が頑張って手に入れたノウハウを共有したくない」という意識を持っていれば、当然ながらナレッジマネジメントは進みません。

そのため、まずは優秀な従業員にノウハウを共有したいと思ってもらう必要があります。そのためには、過度な成果主義や個人主義を取りやめ、評価ポイントを見直したり、企業全体の意識を改善したりする必要があるでしょう。また、ナレッジマネジメントを行うことで得られるメリットを明確にし、社内で共有するといった取り組みができると、さらに大きな効果が期待できます。

ポイント② ITツールを活用する

従業員個人のノウハウをデータ化して共有するナレッジマネジメントにおいては、可視化するためのITツールが必要不可欠です。優秀な従業員が「ノウハウの共有を積極的に行いたい」と思っていても、データ化のプロセスが煩雑であれば、ナレッジマネジメントは失敗してしまいます。

ノウハウを提供する側の従業員は、基本的に多くの業務に追われて忙しいことが予想されます。そのため、ノウハウのデータ化をスムーズに行うためのITツールの導入が理想的です。

また、データ化されたナレッジにアクセスする側の従業員にとっても、スムーズに利用できるものである必要があります。従業員が必要なナレッジにアクセスしやすいツールでないと、せっかくデータ化したナレッジが無駄になってしまいます。

チャット形式で手軽にノウハウを検索できるシステムなど、使いやすさを重視してツールを選びましょう。しかし、ナレッジマネジメントツールは、業務内容によって合う合わないがあるため、実際に無料体験などを活用して、テスト導入、フィードバックの収集を行っておくと安心です。

ナレッジ イメージ
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まとめ

本記事では、現代企業にとって重要であるナレッジマネジメントとは何か、そしてそのメリットと実際に進める際のポイントについて解説しました。

働き方が多様化している今の時代、上司から部下へのナレッジ・ノウハウの継承が容易ではなくなっています。優秀な人材の持つノウハウを積極的に社内で共有し、企業全体の生産性を向上しましょう。

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参考:
https://www.jmac.co.jp/rde/pdf/km.pdf
http://219.112.224.21/lab/qbg/ronbun/H15_kensetumanezimentokenkyuuronbun01.pdf
https://www.unisys.co.jp/PDF/ESPRIT/78/esp78-3.pdf

・本記事の内容は、公開日時点の情報をもとに作成しています。

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