
公開日:2021.02.10 | 更新日:2021.07.31
リファレンスチェックとは?導入目的や質問のポイント・違法にならない方法について解説
人材の流動が活発になったことで、転職者が増加しています。株式会社マイナビが2020年に発表した「転職動向調査2020年版」によると、2019年の転職率は7%に上りました。
近年、企業では優秀な人材を確保するための手法として「リファレンスチェック」が注目されています。本記事では、リファレンスチェックとはどのような採用方法か、違法性やメリットについてご紹介します。
リファレンスチェックとは?
「リファレンスチェック」とは、日本語で「参照」という意味があり、主に転職採用面接において求職者の実績やスキルなどの情報を第三者から得ることです。前職の同僚や上司から得た情報を用いることで、書類や面接からでは分からない求職者の人物像を確認できるのが特徴です。
企業ごとにリファレンスチェックを行うタイミングは異なりますが、一般的には内定を出す直前に実施されます。リファレンスチェックは、書類に記載されている内容と相違がないか、自社にとって有益となる人物であるかをチェックするのに重要な判断材料です。
リファレンスチェックは違法?
リファレンスチェックを導入する際には、法律に抵触しないように気をつけなければなりません。個人情報保護法によると、本人からの同意なしに個人に関わる情報を取得した場合、違法となる可能性があります。リファレンスチェックを実施する前に、求職者本人からの同意を得ましょう。

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リファレンスチェック導入の目的
リファレンスチェックの目的は、書類からは判断できない求職者の人物像をチェックすることです。特に、履歴書や職務経歴書に不審な点がある場合、第三者の証言からの情報をもとに検証を行う必要があります。また、少ない面談機会の中で、求職者の適性やスキルを見極めることが難しく、ミスマッチを防ぐ目的としても活用されています。
目的① 本人経歴・職歴詐称の検証
リファレンスチェックを実施する目的の一つは、求職者本人の経歴や職歴に偽りがないかを確認するためです。内定を得たいという強い思いから、前職での経験を誇張したり、実際に携わっていない業務を記載したりする求職者も少なくありません。
リファレンスチェックを実施することで、履歴書や職務経歴書について事実確認を行えます。経歴詐称は求職者の信用性が問われるため、採用前の最終判断としてもリファレンスチェックは重要です。
目的② ミスマッチを防ぐ
リファレンスチェックは、ミスマッチを防ぐ目的としても用いられます。限られた面接回数の中で、求職者のスキルや適性を完全に把握することは簡単ではありません。厚生労働省が2014年に発表した「雇用を取り巻く環境と諸課題について」によると、求職者の能力・スキル不足がミスマッチの原因として上位に挙げられました。
書類や面接以外から求職者本人について知る方法として、リファレンスチェックは重宝されます。仕事に対する取り組み方だけでなく、自社との親和性を検証し、入社後のミスマッチを防ぐことが大切です。

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リファレンスチェックがもたらすメリット
リファレンスチェックは、企業に対してメリットをもたらします。第三者からの情報を得られるため客観的に求職者を評価できるほか、自社で活躍しやすい人材を見つけられます。また、採用決定前ではなく、早い段階でリファレンスチェックを実施することで、採用活動全体の効率化が可能です。
メリット① 客観的に評価を行える
リファレンスチェックのメリットは、求職者を客観的に評価できることです。一般的には、求職者が提出した書類をベースに面接を行うため、判断材料が少なく、どうしても採用担当者の主観的な要素が入ってしまいます。
リファレンスチェックは、求職者をよく知る人物から情報を得られるのが特徴です。第三者からの情報であるリファレンスチェックの結果を重視することで、主観的な評価を防ぎ、客観的な評価を行えます。
メリット② 自社で活躍できる人材の確保
リファレンスチェックは、自社に適した人材を確保しやすいのがメリットです。しっかりと面接を行ったものの、採用段階と入社後における求職者のイメージにズレがあり、結果としてミスマッチが発生する可能性があります。
一方、リファレンスチェックを導入し、求職者と働いた経験のある第三者による情報を用いることで、入社後の貢献度をイメージしやすくなります。中途採用サポネットが2020年7月31日~8月7日実施した「中途採用実態調査(2020年)」によると、内定者に対して高い満足度を得ている企業の10%近くがリファレンスチェックを実施しています。また、求職者にとっても自身の強みを活かしやすい職場を見つけ出せるのが、リファレンスチェックのメリットです。
メリット③ 採用活動の効率化
リファレンスチェックによって、採用活動の効率化が可能です。一般的な採用プロセスでは、書類選考で求職者を絞り、複数回の面接を通して採用者を決定します。新しく人材を雇うことは企業にとって失敗できないことであるため、最終的に採用を確定するまで時間がかかるのが難点です。
リファレンスチェックは、事前に求職者の情報を把握しておけるのがメリットです。企業によっては内定直前にリファレンスチェックを行いますが、書類選考の段階で実施することで、その後のステップを簡素化できます。

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リファレンスチェックの方法
リファレンスチェックは、求職者の個人情報を取り扱うことから、法律に違反しないように注意しなければなりません。求職者からの同意を得ることや、リファレンス先の選定と連絡、質問内容の事前準備などを忘れずに行いましょう。
・求職者から同意を得る
リファレンスチェックの大前提として、求職者からの同意が必須です。個人情報第32条によると、本人の同意を得ずに第三者へ個人情報を提供することは違法とされています。本人の同意なしで行った場合、採用担当者だけでなく、企業自体が罰せられる可能性があるため、注意しましょう。
また、求職者からリファレンスチェックの同意を得る際には、実施目的を説明することも大切です。どのように利用するかを明確にし、求職者に対して安心感を与えるように進めましょう。
・リファレンス先への連絡
求職者からの同意を得たあとは、リファレンス先の選定と連絡を行います。求職者の前職における同僚や上司を選定し、実際にリファレンスを実施する日程を調整します。アポイントを取る際には、事前に質問内容を決めておき、リファレンスに必要な時間を相手に伝えておきましょう。
・リファレンスチェックの質問内容
リファレンスチェックを実施する際には、質問を準備しておく必要があります。求職者が提出した履歴書や職務経歴書をもとに、相違点がないことをチェックします。また、求職者がどういう人物であるか、自社で活躍できるかを調べるためにも、具体性の高い質問を用意しましょう。
まとめ
転職活動が盛んとなる中で、優秀な人材を確保するためにリファレンスチェックが行われている場合があります。企業にとって、求職者の能力や人物像をイメージしやすいのがメリットです。
ただし、リファレンスチェックを実施する際には、個人情報保護法に違反しないように、求職者から同意を得なければなりません。求職者に目的を説明することや、事前に質問内容を明確にし、安全に活用することが求められます。
参考:
https://www.mynavi.jp/news/2020/04/post_22977.html
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11601000-Shokugyouanteikyoku-Soumuka/0000062121.pdf
https://careerlab.tenshoku.mynavi.jp/report/report-10273/
http://privacy-policy.jp/guideline/kojin/kojin2_2_4.pdf
・本記事の内容は、公開日時点の情報をもとに作成しています。
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