
公開日:2020.06.26 | 更新日:2022.09.12
注目度を増すサテライトオフィス、その魅力とは?
高速通信網の普及やデバイス、ツールの発達など、ICTの進化にも支えられ、オフィスという場所に縛られない「テレワーク」という働き方が広がってきています。コロナ後も、柔軟な働き方を実現するものとして、普及・定着していくと見込まれています。今回は「サテライトオフィス」について、詳しくご紹介します。
サテライトオフィスとは何か
まず、そもそも「サテライトオフィス」とは何なのか、基本的な理解を整理しておきましょう。サテライトオフィスとは、企業や団体の本社や主要拠点オフィスから離れた場所に設置されたワークスペースのことをいいます。本社オフィスを中心としてみた場合に、“satellite(衛星)”のように存在するものといえることから名付けられました。
その歴史は国内でも意外に古く、1980年代から企業に導入されてきています。一時、在宅勤務のみがクローズアップされたことで、利活用・普及は停滞しましたが、昨今はその価値が見直され、再度脚光を浴びるものとなっています。
テレワークは、“tele(遠隔)”と“work(働く)”から生まれた造語で、ICTを利用し、従来のオフィス勤務のような時間と場所の束縛を見直した、より柔軟に勤務できる働き方のことで、様々な形態が可能であり、主なものは3つに分類されます。
分類は業務を行う場所によってなされており、ひとつは自宅で働く「在宅勤務」、もうひとつは営業活動など、場所を問わず外出先で働く「モバイルワーク」、そして「サテライトオフィス勤務」が挙げられます。施設利用型テレワークとも呼ばれ、労働者は本来の勤務先以外のオフィススペースを活用し、パソコンなどネットワーク機器を用いて業務を行います。

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支社との違い
本社から離れたところにある、設備の整ったワークスペース、オフィススペースであるなら、支社や営業所とどう違うのか、結局同じなのではないかと思われるかもしれません。しかし支社・営業所とサテライトオフィスは、まったく意味や性格が異なるものです。
支社・営業所は、たとえ小規模でも、独立して運用できる設備や体制、組織を整えており、その周辺地域など、管轄となるエリアでの営業やビジネス展開に特化することを目的として設置されています。
これに対し、サテライトオフィスは、一般的なオフィス業務にとって必要最低限の設備を備え、常駐する社内人員はいないか、ごく少ない人数で、特定の地域に対象を特化することなく運用されるものとなります。よって、様々な働き方に対応するための通信環境などを中心とした設備は整っていますが、組織機能はもっていないことが一般的です。
その地のビジネスを開拓する、営業を行うことが主な目的の支社・営業所に対し、サテライトオフィスは、従業員自身の働き方を多様にすること、ライフスタイルに合った勤務の実現に寄与することが、主な設置の目的といえます。
サテライトオフィスが注目される背景
サテライトオフィスが注目を集めるようになった理由として、従業員の多様な働き方を実現できるという、先述の設置目的であり、導入メリットが大きく関係しています。
日本では現在、少子高齢化が急速に進み、労働人口の減少が大きな社会問題となっています。労働人口が減少する中でも、社会の豊かさを保ち、一定の国際的競争力や経済の成長・発展を目指すには、限られた人的資源をより有効に活用し、生産性を高めていくほかありません。

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インクルージョンとダイバーシティの実現に向けた取り組みも同様です。多様性を受け入れ、活かすことが働き方のかたちから求められる、そのニーズに対応して、サテライトオフィスの導入も進むところとなりました。柔軟な働き方の実現は、ワークライフバランスを改善し、従業員全体の満足度を増すことにもなるため、優れた人材の確保やモチベーションの向上、離職率の低下に寄与するでしょう。
もちろん、テレワークを支える、インターネット技術を中心としたテクノロジーやインフラの発展・普及も背景にあります。かつてであれば働き続けることが困難で、離職か休職かしか選択できなかった人も、テクノロジーによって時間や場所の制約が解かれ、働ける選択肢をもてるようになったのです。
それは、長い時間やストレスのかかる通勤や移動を仕方のないもの、と考える意識までも変化させました。日々大変な精神的・肉体的負担を負って、満員電車に乗り通勤したり、その都度本社オフィスがある拠点まで戻っては次の営業先に赴いたりといったやり方に限定していては、従業員に負担を強いるだけでなく、企業にとっても非効率的で無駄な費用を払い続けることとなります。サテライトオフィスは、こうした通勤負担や移動にかかる費用とデメリットを大きく解消する手段になるため、その導入効果の高さから、注目されるようになりました。
特に、直近の情勢としては、COVID-19(新型コロナウイルス)の感染拡大対策でテレワークが導入されたものの、通信環境面や家族の存在など、自宅にワークスペースを確保することが難しく、「在宅勤務は続けづらい」「集中できない」といった社員の声や、情報漏洩リスクや勤怠管理の面で在宅勤務に問題を感じている企業などから、そうした問題を軽減することが可能な、オフィスに代わる空間として、サテライトオフィスに注目する向きが生まれてきています。

サテライトオフィス、3つの種類と4つの導入メリット
ひとくくりにサテライトオフィスといっても、そのスタイルは多種多様で、さまざまな形態の導入があり得ます。ここでは大きく3つのタイプに分け、それぞれの特徴をご紹介しましょう。
① 「都市型」サテライトオフィス
ひとつは「都市型」のサテライトオフィスです。その名の通り、企業も多く集まるアクセスの良い都市部に設置されます。主に外回りの営業社員が用いており、資料印刷や報告、会議出席などのために、その都度本社オフィスまで戻らなくとも、現在地から近い都市型サテライトオフィスを拠点として活動することが可能になるため、効率よく働けるようになります。
また、地方に本社を置く企業が、都市部への進出を見据えて設置することもあります。まずは、この都市型サテライトオフィスを拠点に営業や販売活動を始め、その後、事業の拡張とあわせて支社を新設するといったケースもみられています。
② 「郊外型」サテライトオフィス
2つ目に「郊外型」サテライトオフィスがあります。都市部の周辺域、いわゆるベッドタウンと呼ばれるような郊外エリアに設置するタイプです。都市中心部に置いた本社オフィスに通勤してきている従業員が多く住んでいるようなエリア、家賃などもリーズナブルなエリアに設置することで、職住近接を叶えます。
従業員はここを利用することで、通勤時間を大幅に削減可能となり、育児や介護、通院などと仕事との両立を図りやすくなります。通勤移動にかかっていたあらゆる費用を削減でき、社員も肉体的・精神的負担を軽減できます。子育て中で、やむを得ず短時間勤務としていた社員がフルタイムで働けるようになったりするほか、災害や交通トラブルが発生して本拠地のオフィスまで足を運べないような突発的事態が発生した際の事業継続、業務遂行に役立ったりすることもあります。
③ 「地方型」サテライトオフィス
3つ目は「地方型」サテライトオフィスです。都市部に本社拠点オフィスを置く企業が、全国各地の地方地域に設置するタイプになります。地方自治体が積極的に誘致を行っているケースも多く、それに応えるかたちでの地方創生への寄与と、都市部にはない、ゆっくり時間の流れる美しい自然に囲まれた環境で、リフレッシュしつつ働けるようになることから、社員のメンタルヘルスケアや福利厚生の充実化などを一度に実現できるメリットがあります。
また、地方における雇用の創出につながる場合もあり、地方に眠っている優秀な人材の確保が図れたり、郊外型同様、拠点の分散化による事業継続性の向上の推進で、大規模自然災害など非常時への対策を手厚くできたりする点も、良さとして挙げられます。

このように、3タイプそれぞれに特徴がありますから、目的に合わせて導入すると効果を発揮するでしょう。特徴を見た上で、続いてサテライトオフィスの導入メリットを整理しておきましょう。
メリット① 業務効率・生産性の向上
まず第1に、通勤や移動時間の削減による効率化、生産性向上が図れることがあります。
メリット② 固定費の削減
第2には、社員の交通費が抑えられることはもちろん、都市部に規模の大きなオフィススペースが必要となれば、きわめて高額な賃料がかかるため、サテライトオフィスを導入して分散化した方が、オフィス賃料が合計でも安くなるなど、固定費削減の効果が見込めることがあります。
メリット③ 事業継続性の向上
第3には事業継続性の向上として有効であるという点で、拠点オフィスの一極集中時より、あらかじめオフィス機能の分散化が図れていれば、自然災害やテロなど有事・緊急事態の発生時であっても、事業を継続させやすく、ビジネスリスクの軽減につながります。
メリット④ 採用の強化
第4に地方の人材や、これまでの固定化された働き方では働けなかった人材など、社会の潜在的労働力、眠った才能を自社に取り込めるようになるメリットがあります。ワークライフバランスに優れた就業環境があることは、企業ブランドの魅力ともなり、優秀な人材を惹きつけやすくなったり、離職率を低下させたりすることにもなります。これまでアプローチできなかった層にまで採用の幅を広げ、人的資源を強化できると考えられるのです。
このように、主要な点だけに絞っても、サテライトオフィスの導入においては、多くのメリットが期待できます。

サテライトオフィスで多様に
このように、サテライトオフィスは柔軟な働き方を可能にし、これからの時代のビジネス発展を支える有用な施設になると考えられています。
導入による効果は、ご紹介した以外にも数多くあります。空間を共用する別の企業の存在から、異業種協業や新規事業領域の開拓、斬新なアイデアの創出が促進されることなどは、注目すべきポイントでしょう。
ICTを活用するテレワークには課題はまだありますが、これらは事前の対策と運用中における改善、業務の切り出しなど、取り組み方の見直しと工夫などで対応し、コントロールしていくことが可能です。
むしろ、考えられうる問題に注意しながら、自社にとって最適な導入のかたちを探ることで、サテライトオフィスの魅力と効果、将来可能性は何倍にも引き出されていくことでしょう。ぜひ前向きに検討してみてください。
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参考ソース:
https://weworkjpn.com/contents/knowledge/case2/
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h30/html/nd144310.html
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/700/420717.html
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55679?page=2
・本記事の内容は、公開日時点の情報をもとに作成しています。
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