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公開日:2022.08.20 | 更新日:2022.08.19

シュンペーターのイノベーション論、日本企業が抱える課題とその解決法

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新たな技術や考え方を取り入れ、新しいものやサービス、仕組み、ビジネスモデルを生み出すイノベーション。現代では、社会や企業に革新、刷新、変革をもたらし、ビジネスを成長させるために企業がイノベーションを起こせるかどうかが重要です。本記事では、経済学者ヨーゼフ・シュンペーターが提唱したイノベーション理論をもとに、イノベーションの意味や日本企業が抱える課題、イノベーションを起こす企業の特徴を解説します。

 

【目次】

  • ヨーゼフ・シュンペーターとは?
  • イノベーションこそが経済発展の原動力
  • 経済発展における二つの段階
  • 経済発展に重要な三つの要素
  • シュンペーターが説く五つのイノベーション
  • イノベーションを創出するために必要なこと
  • イノベーションのジレンマとは?
  • 日本企業が抱えるイノベーションの課題
  • イノベーションを起こす企業の特徴
  • イノベーションなら WeWork

ヨーゼフ・シュンペーターとは?

ヨーゼフ・アロイス・シュンペーターは「イノベーション」という概念を生みだし、独自の経済発展理論を展開した経済学者です。1883年にオーストリア・ハンガリー帝国(現在のチェコ)で生まれ、オーストリア共和国の大蔵大臣、ドイツのボン大学教授を経て、米国ハーバード大学の教授に就任。計量経済学会の創設に携わり、アメリカ経済学協会や国際経済学協会の会長を務めるなど活躍しました。

著作も多く、特に『経済発展の理論』(1934年)では「新結合」という言葉を用いて「イノベーション」をくわしく解説し、世界中に大きな影響を与えました。彼のイノベーション理論は多くの経済学者に影響を与え、現在ではマーケティング理論の基盤となっています。

イノベーションこそが経済発展の原動力

シュンペーターが定義した「イノベーション」という言葉は、資本主義社会においてはイノベーションの遂行が経済発展の原動力であると提唱しています。「イノベーション」とは「新しくする」という意味のラテン語「innovare」が語源です。新しいものを生みだすことや、すでに存在するものをより良いものへ、新しくすることだといえます。シュンペーターの「イノベーション」で最も重要なのは、飛躍的な経済発展を実現するには既存の価値や考え方を壊し新しいものごとを導入する、もしくは創造することこそが必要という点です。

経済発展における二つの段階

シュンペーターは、経済発展には二つの段階があるとしています。

1 経済の循環的変化

第一段階である「経済の循環的変化」は、人工的に外部から動かされた変化でなく、経済そのものの変化に限定されるとしています。人口構造や社会情勢の変化などにより起こる経済変化です。

2 経済の断続的変化

第二段階は「経済の断続的変化」です。シュンペーターは、新しいものごとを導入したり創造したり、組み合わせたことのないもの同士を組み合わせたりすることを「新結合」と呼び、経済の断続的変化では新結合が起きるとしています。

経済発展に重要な三つの要素

新結合が起きる段階で重要な三要素が「銀行」「企業者」「イノベーション」です。

1 銀行

イノベーションの遂行には、資金が必要不可欠です。そこで企業に信用を与える、つまり資金を貸し出すための唯一の資本家として「銀行」が重要だとしています。

Photo by Moja Msanii on Unsplash

2 企業者

企業の経営者という意味に限定したものではなく、イノベーションを遂行する人を意味します。新たな考え、新しいものの導入や創造などは、人の経験や考えから生みだされ、実際に新しいことに挑戦するのも人です。

3 イノベーション

飛躍的な経済発展を実現するためには、新しいものや考え、今まで組み合わせたことのない組み合わせ、つまり「新結合」が不可欠です。

シュンペーターが説く五つのイノベーション

シュンペーターは、イノベーションを五つに分類しています。

1 プロダクト・イノベーション(新しい生産物の創出)

既存のものを組み合わせたり、新たなアイデアを追加したりすることにより、今までにない革新的な新しい商品を開発することです。Apple社のiPhoneの登場で、多くの人の生活が変化し、アプリ開発やアクセサリー市場に大きなビジネスが生みだされました。

2 プロセス・イノベーション(新しい生産方法の導入)

新しい生産方法や流通方法を導入することにより、製造・流通工程における効率化、簡略化、改善を実現することです。たとえば、SPAモデルがあげられます。SPAとは、企画、製造、販売を一貫して行うビジネスモデルで、おもにアパレル業界で実施されていた手法ですが、現在はアパレル業界のみならず他業界にも普及し、生産性の向上やコスト削減など企業の利益拡大に効果を発揮しています。

3 マーケット・イノベーション(新しい販売先や消費者の開拓)

これまで参入していない市場に価値を見いだし、新たな市場を開拓することです。富士フイルムホールディングスが独自の技術を活かし、化粧品産業に参入したことが良い例です。

4 サプライチェーン・イノベーション(新しい供給源の獲得)

商品を製造するための原材料や部品の調達、および流通方法によって大きな成果を上げることです。キユーピー株式会社が実践している、他社との協働や検品レスによる物流の簡略化が例としてあげられます。

5 オーガニゼーション・イノベーション(新しい組織の実現)

組織そのものを見直し変革することで、業界に大きな影響を与えることです。株式会社サイバーエージェントや株式会社リクルートホールディングスが取り入れている社内ベンチャー制度の採用などがこのタイプに入ります。

イノベーションを創出するために必要なこと

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シュンペーターに影響を受けた経営学者、ピーター・ファーディナンド・ドラッカーは、イノベーションを創出する七つのきっかけを提唱しました。イノベーション創出のきっかけとなりうる要素を、成功しやすい順に提示しました。

  • 予期せぬこと
  • ギャップ
  • ニーズ
  • 産業構造の変化
  • 人口構造の変化
  • 意識の変化
  • 発明と発見

研究して発明するよりも、予期せぬ成功や失敗によって発見したものが、イノベーション創出につながりやすいとしています。理想と現実のギャップにしっかりと向き合うこと(ギャップ)や、市場調査を行うといった潜在ニーズの分析(ニーズ)も、イノベーション創出に必要だと唱えました。

イノベーションのジレンマとは?

米国の実業家であり経営学者のクレイトン・クリステンセンは、著書『イノベーションのジレンマ』(1997年)で、イノベーションは「持続的イノベーション」と「破壊的イノベーション」の二つに分類できるとしています。

1 持続的イノベーション

創造的イノベーションとも言われ、「顧客の需要を把握し、今ある製品やサービスを改良・改善してよりよいものを生み出していく手法」です。大企業で用いられることが多く、顧客満足度や売上の安定性に優れています。しかし「破壊的イノベーション」が起こった際は大きく後れをとる原因となり、大幅な売上減少を引き起こす恐れがあります。

2 破壊的イノベーション

「新たなアイデアを積極的に取り入れ、既存の仕組みやルールとは全く異なる、新しい構造をつくり上げていく手法」です。「新市場型破壊」と「ローエンド型破壊」に分類できます。

「新市場型破壊」は、技術によって今ある市場を革新するイノベーションです。たとえば、デジタルカメラや電卓、電子書籍があげられます。デジタルカメラの登場で、特別な技術がなくても簡単に撮影や印刷が可能となったように、新市場型破壊的イノベーションから生まれた製品の多くは人々の生活の質を向上させています。

「ローエンド型破壊」は価格破壊とも呼ばれ、価格の安さで今ある市場を革新するイノベーションです。格安SIMや格安航空会社など、最低限の性能やサービスで既存の商品よりも圧倒的低価格な商品やサービスを提供することにより、価格面で顧客の満足度を高めます。低コストのまま持続的イノベーションをくり返すことにより、低価格でも高性能な製品やサービスを生みだすこともあります。

日本企業が抱えるイノベーションの課題

低迷している日本企業のイノベーション。その主な原因を考えてみましょう。

1 自前主義

自前主義とは、研究、開発、製造、販売をすべて自社または自社系列の企業で行うことです。費用面でのメリットはあるものの、技術やものなど外部からの調達が必要になったとき迅速に対応することが困難です。スピーディーにイノベーションを実現するためには、外部と連携し自前主義から脱却することが重要です。

2 短期的成果を求める

長期間、研究や開発に時間を費やして何も成果が出せなければ、コストや労力の無駄となってしまうリスクがありますが、成果がまったくないということはありえません。新市場の開拓や独占、市場競争の優位性を獲得したいのであれば破壊的イノベーションを起こす必要があり、破壊的イノベーションの実現には長期的な取り組みが大切です。

3 人材の流動性の低さ

イノベーション実現には、さまざまな業種や職種で人材が流動することで構築される多様性が重要です。しかし日本の企業は終身雇用を前提とした採用を行うため、ひとつの企業で長く働くことが重要視されています。さまざまな職に挑戦する人よりも一企業に長く勤めている人材が優秀とされる傾向があるため、ますます人材が流動しなくなっています。

4 考え方が保守的

失敗を恐れてチャレンジできずにいる企業が日本に多くありますが、これは企業という組織だけでなく、企業で働く従業員にも言えます。会社の方針に従順な従業員とチャレンジ精神旺盛な従業員では、従順な従業員ほど人事評価が高く重宝されることが多いため、新しいことへのチャレンジに腰が引けてしまう従業員も少なくありません。

5 人材不足

人材不足の企業は目の前の仕事だけで手一杯になってしまうため、新たなアイデアの創出や研究が困難です。しかしITやAIなどを活用すれば、製造工程や生産方法など技術面において人材不足を解消できるでしょう。人材不足を解消すれば、企業に余力が生まれ、新商品や新サービスの開発に避ける時間や労力を確保できます。

イノベーションを起こす企業の特徴

1 市場の変化に敏感に反応する

イノベーションの実現には、だれにも思いつかないようなアイデアが必要です。しかし、これまで生まれてきた驚くようなイノベーションも、ただの思いつきでなく市場の変化を先読みし、潜在的なニーズを見抜いたことにより生みだされたものです。市場の変化や動向を見据え、消費者のニーズを見抜く力があれば、どのような企業でもイノベーションを起こすチャンスがあります。

2 適切なリスク管理を行う

イノベーションには常にリスクがあるため、企業の経営陣には適切なリスク管理能力と判断力が必要です。イノベーションが起こせれば企業に大きな利益をもたらしますが、失敗すると売上低下だけでなく企業の存続にかかわる場合もあるでしょう。しかし、リスクを恐れて何もしなければ、市場でイノベーションが起きた際に出遅れてしまいます。

3 社内外で円滑なコミュニケーションをする

市場の変化やニーズを把握する手段として、社内外のコミュニケーションはかなり有効です。イノベーションのきっかけが何気ない会話から生まれることもめずらしくありません。同部署内だけでなく、他部署や社外といったさまざまな人たちと自由に会話や情報交換ができる環境が整っている場合は、イノベーションを起こしやすい労働環境と言えます。

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参考:社員のモチベーションを上げ、オープンイノベーションを実現するヤマハ発動機株式会社の働き方改革

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・本記事の内容は、公開日時点の情報をもとに作成しています

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