
公開日:2020.09.02 | 更新日:2022.03.24
ワーケーションのメリット・デメリットは?導入事例も紹介
「ワーケーション」という新しい働き方が、注目を集めています。ワーケーションとは、従来のようにオフィスだけでなく、旅行先や帰省先の実家など、場所を問わずに働けるスタイルです。
企業が導入するにあたり、ワーケーションにはどのようなメリットやデメリットがあるのか、気になるのではないでしょうか? 本記事で、ワーケーションの概要や大手企業で取り入れられている事例を参考にしながら、自社での活用方法を検討してみてください。
ワーケーションとは?
ワーケーションとは、「Work(仕事)」と「Vacation(休暇)」を組み合わせた造語のことで、休暇を過ごしながら仕事をするという新しい労働形態です。日本企業における有給休暇の取得率の低さもあり、労働環境の改革として、ワーケーションを取り入れる企業が増えています。

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ワーケーション導入における企業のメリット
ワーケーションを取り入れることで、企業にも雇用者にもメリットがあります。これまで、仕事と休暇の線引きは、はっきりさせなければなりませんでしたが、ワーケーションを利用することによって、旅先でも働くことが可能となりました。ワーケーションの導入は、従業員のモチベーションアップや働き方改革の一環になるとして、期待されています。
メリット① 従業員のモチベーションアップ
ワーケーションは、従業員に対して直接的にメリットを生み出します。オフィスで働き続けることによる生産性の低下や、人間関係が原因となるストレスが社会問題となっている中で、ワーケーションは、従業員のモチベーション向上につながる施策といわれています。
ワーケーション中は基本的に、旅行先や実家などの帰省先で働くため、いつものオフィスから離れた新鮮な環境で、心身をリフレッシュしながら仕事をすることができます。旅行先での休暇を楽しみつつ、仕事にも集中して取り組めることから、会社としての生産性の向上にもプラスとなる働き方であるといえます。
メリット② 働き方改革の一環となる
ワーケーションを導入することは、直接的に働き方改革の一環となります。昨今の日本社会で問題となっているのが、有給休暇の低取得率です。会社によっては、有給休暇を取りにくい雰囲気があったり、どうしても仕事を中断できなかったりするために、有給休暇を取得できない状況が見られます。
ワーケーション中は、休暇先や帰省先など、会社以外の場所にいながらにして、仕事を行えるため、結果的に有給休暇の取得率の改善にもつながります。また、2019年4月からは、一定の有給休暇の取得が必須となったことから、ワーケーションを取り入れることによって、会社としても健全な働き方の提案が可能となります。

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ワーケーションのデメリット①:導入に際して企業が気をつけるべきポイント・コスト
生産性の向上や働き方改革の一環として、職場環境の改善につなげられるワーケーションですが、デメリットにも同時に注意しなければなりません。企業がワーケーションを導入するにあたり、トラブルになりやすい点を事前に確認しておきましょう。
ポイント① セキュリティ対策を行う必要がある
ワーケーションの制度を企業が取り入れる際に、セキュリティ面の整備を行う必要があります。というのも、オフィス以外の場所で、フリーWi-Fiなどに接続することによって、機密データが漏洩してしまうといった危険性があるためです。
また、会社から貸し出しをしているパソコンやスマートフォンなどのデバイスを紛失してしまうことや、資料の持ち出しによる情報漏洩にも配慮しなければなりません。ワーケーションを導入する場合、セキュリティ会社との連携を行うことや、リスク管理を徹底することが求められます。
ポイント② 労働環境の複雑化
ワーケーションは、オフィスなどの決められた場所で働かないスタイルであるため、勤務状況の把握が難しくなります。さらに、海外で過ごす場合は、日本と時差が発生することもあり、顧客先からの急な要望などにも対応できません。
また、上司や同僚とのコミュニケーションも、必然的に減ってしまうため、進捗状況などの情報共有も重要となります。オフィス不在時の役割分担を明確化することや、連絡ツールを用いて、会社全体として支障が出ないような工夫が必要です。

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ワーケーションのデメリット②:導入に際して従業員が気をつけるべきポイント
長期休暇の取得やワークライフバランスの維持など、従業員にとってもメリットがあるワーケーションですが、比較的自由な勤務形態であるため、最初のうちは慣れない点もあります。また、ワーケーションで休暇を取る際には、不在中にチーム内での仕事分担を考えるなど、会社全体でのルールづくりも必要です。
ポイント① オン・オフの区別が難しくなる
ワーケーションを利用する場合、休暇先における「オン・オフ」の切り替えが難しくなります。旅行先のリゾート地でも仕事ができるという反面、仕事に専念しすぎることで、休暇の時間を取れなくなってしまう可能性があるためです。
そのため、仕事と休暇のメリハリを意識して、時間によって区切るなど、快適なワーケーションを送れるように対策をしましょう。
ポイント② 周囲の理解や協力を必要とする
ワーケーションを利用している従業員がいる場合、彼らのフォローができる体制を整えておかなければなりません。長期休暇中も仕事を行えるといっても、例えば、担当する顧客からの連絡があった際、すぐに対応することができない場合があります。
また、専門性が強い分野の仕事であると、代わりとなる人材を社内で見つけられないこともあるため、オフィス不在中でも不利益にならないように、会社全体での協力や理解が必要です。

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企業のワーケーション導入事例
ワーケーションは、まだまだ日本全体には浸透していないものの、一部の大企業では具体的な取り組みが実施されています。自社でワーケーションを導入する際の活用方法として、参考にしてみてください。
事例① 日本航空株式会社(JAL)
日本の航空業界を代表する日本航空では、2017年からワーケーション制度が導入されています。国内外での計5日間のワーケーションを認めており、期間中は出勤日としてカウントされ、勤務時間はインターネットを利用したWeb会議やメールの作業がメインです。
日本航空では、ワーケーションを取り入れたことで、従業員の有給休暇取得率が向上し、残業時間の削減にもつながっています。現在では、パイロットや客室乗務員を除いた一部の職種のみが対象ですが、ワークライフバランスの向上に成功した事例といえます。
事例② 三菱地所株式会社
三菱地所株式会社では、和歌山県・白浜町と業務提携をし、運営するビルに入居する企業を対象とした、ワーケーション用のフレキシブルオフィスを設立しました。
仕事の隙間時間を利用して観光を行えるため、従業員にとってリフレッシュになる一方、自治体にとっては地元PRにも活用できます。また、開放的な雰囲気があるオフィスを提供しているため、人と人とのつながりを増やすことで、新たなアイデアの創出にも期待できる取り組みです。
まとめ
新しい働き方の1つとして注目されている「ワーケーション」は、企業にとっても従業員にとってもメリットがあります。これまで各企業で課題となっていた有給休暇の取得率や、生産性の向上にもつなげられる、可能性を秘めた施策といえるでしょう。
まだ導入している企業は少ないものの、実際に成果を出している事例もあるため、自社でどのように取り入られるかを検証してみましょう。
参考:
https://www.jal.com/ja/sustainability/human/work_style/
https://workxation.mec.co.jp/cases/
・本記事の内容は、公開日時点の情報をもとに作成しています。
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