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公開日:2020.09.29 | 更新日:2021.06.01

テレワークうつの危険性について。コロナ禍における従業員のメンタルマネジメント術

ナレッジ働き方改善

新型コロナウイルス感染症の影響で、テレワークに移行したのはいいものの、従業員が「テレワークうつ」になってしまった、という悩みを抱えている企業も多いことでしょう。

テレワークうつは、個人による対応では改善しにくく、企業主導のマネジメントやサポートが必要になります。本記事では、テレワークうつの原因や、企業がすべき対処法についてご紹介します。

テレワークうつとは?

テレワークうつとは、うつの中でも、テレワークが原因で発生したうつ、もしくはうつ症状のことを指します。コロナによってもたらされた急なテレワークは、日本人の身体やメンタルを蝕み始めたのです。

新型コロナウイルス感染症への組織対応に関する緊急調査では、コロナの影響で、従業員の一部または全員に対してテレワークを開始した企業は、84%であったと報告されています(参照:一橋大学経済学研究科の原泰史特任講師ら「組織学会」の経営・経済学者18名とHR総研が共同で実施)。これらの中には、企業や従業員の意志に反し、テレワークを開始せざるを得なかった事例が多くあります。

テレワークによるメリットが取りだたされる昨今ですが、働き方を大きく変えなければならないテレワークは、従業員にさまざまなデメリットももたらします。上記の調査では、コロナによって生じている働き方の問題点についてもデータを取っていますが、「仕事上でのストレスを抱える従業員が増えた」と考える企業は、約6割にも及びます。

一部の従業員は、テレワークに変更後、抑うつや不安感、睡眠障害、肩こり、眼精疲労、腹痛や下痢などの腹部症状、倦怠感、意欲の減衰などに悩まされています。国民病ともいえるうつ病とは基準が少し異なりますが、テレワークを原因とした体調悪化や意欲の減衰、つまり、いわゆるテレワークうつが現在増加しているのです。

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テレワークうつの原因

テレワークうつを誘発させる原因は何なのでしょうか。うつ病にもさまざまな原因があるように、テレワークうつの原因にもさまざまなものがあります。1つの特定の原因により誘発される場合もあれば、複数の原因が重なってテレワークうつになることもあります。テレワークうつを誘発させる6つの原因について紹介します。

① 椅子に座ったままの長時間労働

テレワークは、オンライン上での仕事が中心になりますので、基本的にはパソコンの前に座って仕事をし続けることになります。日頃から同じような働き方だった人には問題ないかもしれませんが、体を動かしたり、頻繁に移動しながら仕事を行っていた人からすると、椅子に座ったままの長時間労働は非常に苦痛です。

パソコン画面を見続けることは、視力低下や頭痛、腰痛などの身体症状の悪化も引き起こします。また、人とのコミュニケーションが抑制されることで、やる気の喪失や倦怠感などにもつながります。また、仕事が終わらなかった場合、時間を延長して働かざるを得ないこともあるでしょう。これらの長時間労働が、テレワークうつを引き起こす1つの要因となっています。

② 孤独感

他者と共同で働くことが多かった従業員の中には、テレワークによる孤独感に耐えられない人も多くいます。日常的な会話に加え、仕事に関する報告や相談など、人と関わる機会が減少することで、孤独を感じ、抑うつなどの症状を引き起こす場合があります。

③ 仕事とプライベートの切り替え

職場では仕事に集中し、職場を離れた瞬間にプライベートに気持ちを切り替えていた人も多くいるかと思います。しかし、テレワークは常に自宅で勤務することになるため、仕事とプライベートの切り替えが非常に難しくなります。

また、仕事でWeb会議システムなどを使用することも多くなり、自宅が他の従業員の目に晒される機会も増えます。仕事とプライベートの切り替えがうまくいかなかったり、プライベートに過度に介入されたりすることなども、テレワークうつの原因となります。

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④ コミュニケーション上のストレス

仕事で非常に大切な要素であるコミュニケーションも、テレワークでは異なる方法で取る必要があります。例えば、急ぎの案件があり、通常であれば直接質問し、すぐに回答を得られるような場合でも、テレワークではメールを送り、相手からの返信を待つことになります。早く回答がほしいと思えば思うほど、相手からの返信が遅いと、イライラしてしまうこともあるでしょう。

テレワークでコミュニケーション手段が大きく変わったことで、仕事効率が下がったと感じたり、イライラが募ったりすると感じる人も多くいます。コミュニケーション上のストレスも、テレワークうつを誘発させる大きな要因です。

⑤ 運動不足や食事の乱れ

通勤時間が減らせることがメリットのひとつであるテレワークですが、通勤や仕事中に自然に行っていた身体活動が減少することで、運動不足に陥ります。また、バランスのよい食事を社食や外食に頼っていた人は、テレワークで外出や外食の機会が減少することで、適切な栄養素を摂取できなくなります。運動や栄養は、身体・精神に大きな影響を及ぼしますので、運動不足や食事の乱れにより、テレワークうつになる人も多いのです。

⑥ 正しく評価されていると感じられない

仕事をする上で、同僚や上司からの評価は非常に大切です。中には、評価がやりがいになっている人もいることでしょう。しかし、テレワークでは、これまでのような対人の評価基準では判断が難しくなり、よりテキストベースや成果物などによる評価が重視されがちです。これまでの評価方法と異なることで、モチベーションの保ち方や目標の定め方を見失ってしまい、やる気を消失し、テレワークうつになる人もいるようです。

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テレワークうつを防ぐマネジメント方法

昨今の社会情勢によって急速に拡大したテレワークですが、総務省が推奨している働き方の1つでもあることから、今後の需要は拡大していくと考えられます。テレワークうつを予防しながら、かつテレワークのメリットを最大限に活かすためには、テレワークを個人の裁量に任せるのではなく、企業側がしっかりとマネジメントする必要があります。企業にぜひ検討してほしい、4つのマネジメント方法について紹介します。

① 朝礼や定期報告の実施

毎朝決まった時間に行う朝礼の時間を設けることで、プライベートと仕事の切り替えを促し、従業員がスムーズに仕事を開始するのを助けます。また、午後の開始時に行う昼礼や、勤務終了時に行う夕礼を設けるのもよいでしょう。

しかし、これらの定例報告の場は、時間に縛られずに働けるというテレワークのメリットと相反する結果をもたらす場合もあります。単に時間を設けるのではなく、目的をしっかりと持った上で、効果的に機能する定例報告の場を設けることが大切です。

② チャットツールやビジネスツールの導入

「コミュニケーションが取りにくくなった」「仕事効率が悪くなった」と考えている従業員が多い場合は、チャットツールやビジネスツールの導入を検討するとよいでしょう。昨今では、オンライン上で気軽なコミュニケーションを図る目的で作られたチャットツールや、個人・グループの働き方や効率を大きく改善するビジネスツールが大量にリリースされています。このようなチャットツールやビジネスツールを効果的に用いることで、従業員の悩みを解決し、テレワークうつを防ぐことにつながります。

チャットツールやビジネスツールに関しては、ぜひ以下の記事も併せてご一読ください。

記事:『テレワークに活用できるチャットツール6選』
記事:『作業効率が格段と向上!テレワーカーにおすすめの無料ビジネスアプリ9選』

③ 気軽なコミュニケーションや個別面談の場を設置

仕事に打ち込んできた従業員の中には、現場での仕事や同僚とのコミュニケーションを失ったことで、喪失感やモチベーション低下を感じている人もいます。仕事の打ち合わせももちろん大切ですが、自由参加の雑談タイムやスナックタイムなど、気軽なコミュニケーションが図れる場を設けるのもよいでしょう。

中には、自分の時間を集中して過ごしたいと考える従業員もいますが、仕事以外のコミュニケーションを一切取らないというのは、隠れテレワークうつを見過ごすことにもなりかねません。上司やマネージャーが個別面談の時間を設け、一人ひとりの悩みや現状をしっかりと聞く時間を設けることも大切です。

④ 適正な業務の評価基準

仕事への評価は非常に大切です。しかしながら、テレワークになったことで、評価が難しくなったと感じている方も多いと思います。評価をする側からすれば、働いている姿が見えない従業員を評価することは大変難しく、場合によっては誤った評価を行い、従業員のモチベーションを大きく低下させてしまうこともあり得ます。

そのため、上司は正しい評価を行うことに力を注ぐとともに、事前に評価基準を設けたり、複数人で評価を行ったりするなどの配慮をすることが重要です。また、グループで利用できるタスク管理ツールを利用するなど、各人の仕事を透明化することで、過大・過小な評価を防ぐことができます。

テレワークに適したヒンジ評価方法やタスク管理ツールに関しては、ぜひ以下の記事も併せてご一読ください。

記事:『テレワークに適した人事評価方法・基準とは?』
記事:『テレワーク中に使えるおすすめのタスク管理ツール5選!』

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まとめ

昨今、急激に増加しているテレワークうつの原因と、そのマネジメント方法について紹介しました。テレワークうつは、個人の努力だけではなかなか改善が難しいものです。企業のリーダーが舵を取り、自社に適したテレワークの形を模索していきましょう。

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参考:
http://pubs.iir.hit-u.ac.jp/admin/ja/pdfs/show/2390
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/telework/

・本記事の内容は、公開日時点の情報をもとに作成しています。

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