
公開日:2020.10.16 | 更新日:2021.03.16
テレワーク加速で副業する人が急増中?正しい副業の始め方とは
コロナ禍でテレワークが進む中、多くの人々が副業を開始していることをご存じですか? 本記事では、コロナ禍で副業が増加している実態とともに、副業を開始したいと考える方のための、副業の始め方についてご紹介します。
日本における副業の背景
終身雇用制が一般的であった日本においては、1つの会社で退職まで働くことがよしとされる風潮がありました。そのため、副業や兼業は、多くの企業で禁止されていました。
しかしながら、長時間労働や変わり映えのない仕事を課す企業も多く、職場うつが急増。仕事に対するやりがいが、調査対象35カ国中で最下位になるなど、労働への低いモチベーションも話題となりました(Indeed調べ)。また、大企業であっても、早期退職者を募る会社が増加するなど、終身雇用に対する不安も増加していきます。
そのような中、厚生労働省は、日本国民に対して働き方の改革を提案しました。そのうちの1つとして、これまで多くの企業で禁止されていた副業や兼業を推進する法案を可決。自分に合った働き方を見つけるよう、日本国民に提案しました。
元々、副業や兼業は、国としては禁止の立場は明確にとっていませんでしたが、会社の不利益につながる可能性があることから、多くの企業では就業規則に禁止と記載。また、暗黙の了解として、副業がよしとされない風潮もありました。しかしながら、国が副業の推進に舵を切ったことから、日本中で副業や兼業に注目が集まるようになりました。
厚生労働省は、副業や兼業は従業員にも企業にもメリットが多いと説明しています。従業員にとっては、新しいスキルを獲得することで、自分らしいキャリア形成ができ、企業にとっても、新しいスキルを獲得した従業員を雇用し続けることができると報告しています。
しかし、総務省が5年に1度行う就業構造基本調査(平成29年版)によれば、副業を行っている個人はわずか4.0%であったと報告されています。副業は気になるけれども、なかなか手が出せない、というのが日本の状況でした。

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副業する人が増えている理由
しかしながら、昨今、副業ブームが来ています。厚生労働省の労働政策審議会安全衛生分科会が2020年7月23~29日に行ったインターネット調査によれば、副業をしている割合は9.7%であったと報告されています。
副業を行っている人たちが増えるにつれ、副業に関する情報がより一般化し、さらに多くの人々が副業を開始するとも考えられます。では、どうして急に副業をする人が増えたのでしょうか。副業が加速している理由についてご説明します。
理由① テレワークの普及で使える時間が増えた
日本では、長い時間をかけて通勤する人が多くいました。例えば、東京にある本社に出勤するために、満員電車を利用し、毎日通勤に1~2時間をかける人もいます。
しかし、新型コロナウイルスによる影響を受け、多く会社がテレワークに移行しました。テレワークの普及は、これまでの日本人の働き方を大きく見直すことにつながりました。
大きな時間を割いていた通勤時間がなくなることに加え、移動疲れもありません。空いた時間の使い方は個人の自由なので、テレワークで生じた新しい時間を利用し、副業を行う人が増えているのです。
理由② 将来の不安解消のため
帝国データバンクの調査によれば、コロナ禍を受けて、企業の倒産が相次いでいますが、実はコロナの前からも、日本の企業は徐々に後退するだろうと考えられていました。例えば、2019年には、株式会社ファミリーマート、カシオ計算機株式会社、富士通株式会社、味の素株式会社、株式会社東芝などの大企業が、早期退職者を募集しています。これまでのような終身雇用制が崩れ始めたといってもよいでしょう。
このような状況に加え、コロナによって多くの企業は大打撃を受けています。給料が下がったり、リストラされたりする可能性がより身近なものになりました。企業に所属していれば安泰という神話が崩れ始めたといえます。
そこで、多くの人々は、企業に属していることで安心を得る生活から、自分の力で稼ぐ方向にシフトし始めました。副業で身につけたスキルは、将来に活かせることも多く、たとえ会社が倒産しても、自分の力で稼いでいける可能性が広がります。このように、労働に対する将来の不安を解消したい人たちが副業を開始し始めました。
理由③ 企業が外部に発注する機会が増えた
以前の企業では、自社に関する仕事内容を、すべて自社、もしくは提携会社で行うというシステムが取られていました。しかし昨今、さまざまな特徴を持った企業が出現し、関係性だけでなく、費用やクオリティに焦点が当てられることで、発注先に多様化が進んでいます。
また、フリーランスや副業家の出現により、企業への発注ではなく、必要なスキルを持った信頼できる個人に対して発注する企業が増加しています。さらに、企業が個人に直接仕事を依頼できるクラウドソーシングの出現により、企業が必要な人材を簡単に探し出せるようになりました。そのため、以前は個人で受注しづらかった仕事を、比較的容易に受注できるようになりつつあります。
企業にとっても、他の企業に依頼するよりも安い価格で、かつ質の高い仕事をしてもらえるのですから、個人に依頼することは大きなメリットです。このように、企業から個人への発注が一般化するにつれ、副業で稼ぐことが比較的容易になってきたことも、副業が加速している大きな理由の1つです。

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副業の始め方
本記事を読まれている方の中には、実際に副業を開始したいと考えている人もいることでしょう。最後に、副業の始め方について説明します。気軽に開始できる副業ですが、副業を始める前には、以下の点も確認しておくとよいでしょう。
・勤務先の就業規則を確認
まず押えておきたいのは、勤務先の就業規則の確認です。国が推進している副業ですが、会社によっては禁止しているところもあります。そのため、勤務先の就業規則に、副業に関する項目があるかどうかを確認しておく必要があります。
会社によっては、副業を行うことで、本業に大きな影響が及んだり、本業の機密情報が漏洩してしまったりする可能性があるなどの理由で、副業自体を禁止しているところもあります。正式な理由のもとで副業が禁止されている場合は、副業を行うことは就業規則の違反行為となりますので、諦めざるを得ません。
就業規則に記載がない場合、副業の開始は個人の自由となります。ただし、本業と副業をしっかりと切り離して実施することは、最低限守る必要がありますので、会社に影響を与えないように実施しましょう。
・目的を明確化
副業の目的を明確化することも大切です。副業の目的は、主に「収入補填」と「自己実現」があります。収入補填の場合は、自分の現在のスキルや副業のために使える時間を検討し、条件に合った仕事を探すことが望ましいです。収入を得ることが目的ですので、時間単位制の労働や単純作業の仕事など、幅広い仕事が当てはまります。
その一方で、自己実現を目的としている場合は、自身の将来像をしっかりと描いた上で始めることが望ましいといえます。特に、副業で身につけたスキルは、将来の仕事受注に活かせる場合も多くあります。自己実現を目的とする場合は、目先の利益にとらわれるのではなく、長期的な視点のもとで成長につながる仕事を積極的に探していくとよいでしょう。
・業種を選定
副業は自己のキャリア形成に大きく影響しますので、業種選びは慎重に行いたいところです。選んだ業種によって、副業の探し方が大きく変わってきます。オンラインで完結できるジャンルであれば、クラウドソーシング、店舗での時間制の勤務でしたら、地域の派遣・求人サイトに登録するのがおすすめです。
対象のサイトを見ると、非常に多くの副業情報が出てきますが、大切なことは、自分の目的に合った仕事を選ぶことです。副業は、自分の人生を大きく変えることにもつながりますので、自分が設定した風業の目的を忘れずに、適切な仕事を受注するようにしましょう。

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まとめ
テレワーク加速により、副業する人が増加しています。従来の日本の働き方に慣れている方からすれば、この流れはあまり実感がないかもしれません。しかしながら、世界に目を向けてみると、スキルに合わせた転職や、自分の空き時間を活かした副業は当たり前となっています。会社の就業規則を確認した上で、将来を見据えた副業を開始するのもよいでしょう。
参考:
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000148322.html
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000192188.html
https://www.stat.go.jp/data/shugyou/2017/index.html
http://blog.indeed.com/hiring-lab/indeed-job-happiness-index-2016/
https://www.tdb.co.jp/tosan/covid19/index.html
・本記事の内容は、公開日時点の情報をもとに作成しています。
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