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公開日:2020.10.19 | 更新日:2022.05.17

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?意味や事例、テレワークとの関係を解説

ナレッジオフィス分散働き方改善

新型コロナウイルスの影響によるテレワークの急激な普及で、新しい働き方に注目が集まっています。中でも、デジタルを活用して働き方の大きな改善を目指す「デジタルトランスフォーメーション(以下:DX)」が話題になることが増えてきました。本記事では、DXの基本事項とともに、DXの取り組み方についてご紹介します。

【目次】

  • デジタルトランスフォーメーション(DX)とは?
  • DXとテレワークとの関係性
  • DX推進が広まっている理由
  • DXへの取り組み方
  • DXによる新しい働き方の模索に向けて

デジタルトランスフォーメーション(DX)とは?

DXは、2004年にスウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が提唱した考え方で、「企業がテクノロジーを利用し、業績の大規模な改善を図ること」を指します。

日本では、経済産業省がDXの推進を図っており、DXは以下のように定義されています。

— 以下、引用 —
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。

経済産業省 デジタルトランスフォーメーションを推進するための ガイドライン (DX 推進ガイドライン) Ver. 1.0
— 引用終わり —

この説明に対する解釈が難しく、日本のマーケターたちは、異なる意味合いでDXを利用しているのが現状です。気を付けたいのは、「こうすればDXだ」という特定の方法や形があるわけではないことです。デジタルの力で現状を大きく変えようとする概念がDXで、DXの形は、実行する企業によって無限にあるといえます。

例えば、業績が悪化している老舗企業が、最新のテクノロジーを取り入れた斬新な改革を実施する際、起死回生の策としてDXに取り組む、というように用いられます。DXとは何かと聞かれたら、「現状を大きく改善するために企業が取り組むデジタル改革」だと答えるとよいでしょう。

ただし、デジタル改革が成果につながって、はじめてDXと呼べることにも注意が必要です。単なるデジタル改革ではなく、きちんと成果や改善につながるデジタル改革がDXなのです。

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DXとテレワークとの関係性

2020年、新型コロナウイルスの拡大に伴い、多くの会社がテレワークへの移行を余儀なくされました。これまで対面で仕事をすることが多かった会社にとっては、非常に苦しいシフトチェンジだったかもしれません。

しかし、テレワークに移行したこと自体は、DXとはいえません。というのも、多くの企業は、能動的ではなく、やむなくテレワークに移行しています。これはあくまでも、現状に対するその場しのぎの対応です。将来も続くであろうテレワークという働き方を最大限に活かすためのデジタル改革、つまりDXが必要なのは、これからだといえます。

そういった意味では、テレワークという働き方を各企業が認めた上で、テレワークが最大限に活かされるためのDXの模索が、各企業に求められています。DXは、テレワークを中心とした新しい働き方の可能性を見つける取り組みともいえるでしょう。

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DX推進が広まっている理由

DXは、新型コロナウイルスによるテレワーク人口の増加によって注目度が増しましたが、実はそれ以前から、世界中でその重要性が主張されていました。日本においても、日本デジタルトランスフォーメーション推進協会などが中心となり、将来のためにDXを進めることの重要性を主張しています。では、なぜDXの推進が必要なのでしょうか。

理由① 既存レガシーシステムの限界

レガシーシステムは、確かに日本の企業に安定と安心をもたらしました。しかし、世界では、新しい技術革新が日々起こっています。既存のレガシーシステムに依存したままでは、変化の激しい今を生き抜くことは難しいといえます。

2017年に、一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会と株式会社野村総合研究所が行った「デジタル化の進展に対する意識調査」では、トップランナーの多くは、レガシーシステムから脱却している割合が高いことが報告されています。

安定・安心のレガシーシステムはすでに限界にきており、未来を予測して、改変を進められる企業が生き残っていく時代になるでしょう。この事実に気づいている企業が、積極的にDXを進めようとしています。

理由② 多種多様な分野で広がるデジタル化の変革

世界のトップ企業の多くがIT関係の企業です。また、昨今売上を伸ばしている会社をみると、ITをうまく活用していることに気付くと思います。世界でデジタル化が進むにつれ、ITに関係する企業だけではなく、どの分野の企業においても、ITを活用したマーケティングが成功の鍵となっています。

商業施設新聞の「直近の主要アパレルのEC売上比率と国内店舗数」によれば、店舗型のショップの売上が減少しているのに対し、ECショップの売上は上昇しているのも、典型的な例といえます。

それぞれの分野で成功を収めるには、デジタル改革、つまりDXに取り組む必要があります。IT関連企業だけでなく、多種多様な分野の企業が、将来を見越してDXに取り組み始めています。

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DXへの取り組み方

DXに取り組むことは非常に重要ですが、働き方に関する大きな改革になりますので、慎重に進めることも大切です。最後に、DXへの取り組み方についてご紹介します。

取り組み方① DX推進のための経営のあり方や仕組みを構築する

まずは、DXの推進に関する経営戦略やビジョンを明確化することが重要です。DXを進めることで、どのような価値を生み出すことができるのか、作業効率化に直結するのか、コスト削減につながるのかなど、具体的なビジョンを作りましょう。

また、DXを進めるためには、経営者の強いコミットメントも重要です。DXは働き方に関する大きな改革ですので、会社のトップが率先して取り組むという姿勢を見せることが大切です。

その一方で、デジタル化の影響を受けるのは従業員たちですので、実際に利用する従業員の声を聞きながら進めることも重要です。急ぎすぎるあまり、経営者からトップダウンの指示が出され、うまくいかなかった企業の例も多くありますので、注意しましょう。

取り組み方② DX推進に関する基盤を整備する

具体的な戦略を練ることができたら、DX推進のための基盤整備に移ります。DX推進のためのネットワーク構築ができているかの確認や利用するデジタルツールの選定、必要な機材や人材の確保などに移ります。

基盤整備で気を付けるべきポイントは、DXに精通した企業と提携することです。多くの企業は、過去につながりのある企業とDXを進め、その結果、思ったような成果を得られないといったケースが多々あります。

DXは、会社の働き方を大きく変容させる取り組みですので、ITに関して知識がある企業ではなく、働き方改革に強みを持つ企業と提携することで、成功につながりやすくなります。既存のコネクションに縛られるのではなく、自社にもっともあった能力を備えた企業と連携することが大切です。

取り組み方③ DXを実行に移し普及させる

最後に、DXによる新しい働き方を普及するプロセスに移ります。大抵の場合、働き方の変更は、従業員にとって、容易に受け入れられることではありません。推進者が強い意志を持って、従業員に呼びかけていくとともに、普及に向けたシステム作りを進めていく必要があります。また、併せて、多くの企業で、従業員ごとにデジタルに対する理解レベルは異なりますので、それぞれのレベルに合った、丁寧かつ継続的なトレーニングの必要性もあるでしょう。

また、DXの成果を正しく評価するために、分析や評価の観点を定めておくことも重要です。その際、新システムの利用率や各業務に対する従事時間など、個別の項目で評価することも重要ですが、もっとも大切な「会社全体の利益向上やビジョン達成につながったかどうか」の視点からも評価することを忘れないようにしてください。

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DX推進に向けた取り組みの事例

自社でDXを推進するためには、企業で取り組まれている事例を参考にしましょう。ここでは、さまざまな業界におけるDXの推進事例を紹介します。

 

・アパレル業界のDX推進事例

アパレル業界は、新型コロナウイルスの感染症対策から、店舗での営業だけでなくECサイトを活用した動きが目立っています。しかし、商品を手に取って見られないというデメリットもあることから、消費者の利便性が課題となっています。

ファッションメーカーでは、AIを用いたデジタル採寸機能を導入し、スマートフォンの専用アプリを通して消費者に適した服のサイズを調べられるようにしました。さらに、消費者から送られてきたデータを蓄積し、身体中の細かい部分まで精度の高い採寸ができるサービスを提供しています。

 

・金融業界のDX推進事例

金融業界では業務が複雑であることから、従業員に重い負担がかかってしまっている点が課題でした。とくに顧客の帳票管理は手入力で行う必要があり、ヒューマンエラーにつながる恐れがあります。

そこで従業員の負担を軽減するために、OCRと呼ばれるテキストの自動認識技術を採用し、帳票の読み取りを簡素化させています。また、データをデジタル化することで事務作業の効率化にも成功しました。

 

・物流業界のDX推進事例

配送量が増加している物流業界では、商品管理や倉庫管理、配送ルートの管理など、顧客先に荷物を届けるまでの管理工数に課題を抱えている企業も少なくありません。人手不足も影響し、配達の遅延や従業員の労働環境悪化が懸念されていました。

物流業界でのDX推進事例は、ロボティック・プロセス・オートメーションを活用し、これまで人が行っていた作業をロボットに覚えさせることで、単純作業を自動化させる取り組みが行われています。

また、配送ルートの選定に関しても、従来ドライバーの経験や勘でルートを選んでいたため、再配達や時間通りに配送できない恐れがありました。そこで、天候や渋滞、配送先の情報といったビックデータの活用によって効率性の高い配送ルートを割り出すことに成功しています。

DXによる新しい働き方の模索に向けて

テレワークの推進が進む日本ですが、テレワークの一般化の次は、テレワークで最大限の利益を得るための方法に注目が集まります。その際に、キーワードとなるのがDXです。企業の将来のためにも、DXに関する情報に今から敏感になり収集しておくこと、DXを推進するにあたっての現状把握、目的の設定、課題の整理をしておくことが重要であるといえるでしょう。

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参考:
https://www8.informatik.umu.se/~acroon/Publikationer%20Anna/Stolterman.pdf
https://www.meti.go.jp/press/2018/12/20181212004/20181212004-1.pdf
http://www.juas.or.jp/cms/media/2017/03/digitalization2017.pdf
https://jdxa.org/
https://www.sangyo-times.jp/article.aspx?ID=3079

・本記事の内容は、公開日時点の情報をもとに作成しています。

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