
公開日:2020.06.17 | 更新日:2020.09.06
「集中のプロ」から学ぶ、在宅勤務で生産性を保つ3つのコツ
働き方改革の推進や、昨今の社会情勢により、リモートワークや在宅勤務をする人が増えています。
在宅勤務をされている人の中には、私生活と仕事を切り分けが難しいと感じる方も多いのではないでしょうか?
今回は、WeWork(ウィーワーク)が、株式会社ジンズホールディングスの井上 一鷹氏をお招きして開催したオンラインイベント「テレワーク時代の働き方:オフィスと家の活用方法」をレポートします。
オフィスで働くメリット、デメリット
お話いただいたのは、株式会社ジンズホールディングスで新規事業開拓を担当する井上氏。
井上氏は、集中を測ることができるアイウェア、JINS MEMEの開発にも携わっています。
JINS MEMEは、「自分を見る」ことをコンセプトに開発された、眼鏡型のウェアラブル機器。
眼の動きと体の動きを検知するセンサーを搭載し、JINS MEMEで検知されたデータは、スマートフォンのアプリで見ることができるため、自分の集中度を知り、効率的に集中を生み出す方法を習得することができます。
また「夢中になれるひとりの環境を提供すること」をコンセプトに、誰もが気持ちよく働くことのできるワークスペース 、Think Lab の運営を行う株式会社Think Labの取締役も務める、いわば集中のプロです。
「人は、深い集中力に入るまでに平均23分もの時間を要すと言われていますが、オフィスにいると平均11分に一回は話しかけられていた。」と井上氏は言います。
また、オフィスで働くことのメリットについても、以下のように話します。
「Beforeコロナの時代は、オフィスへ向かうこと当たり前だったため、私たちの生理状態は通勤することで、無意識のうちに”スイッチON”になっていました。また、オフィスから帰宅することで”スイッチOFF”にすることが出来ていました。」
一方、在宅勤務の場合、本来はスイッチOFFにしていた自宅という空間で仕事をするために、無理矢理ONにしたスイッチの切り方に悩む方が多いのだそうです。
在宅勤務の壁
従来、仕事をする場所ではなかった自宅で仕事をするようになると、様々な問題が生じることが考えられます。
通勤等の移動がない分、疲れにくいと思われがちな在宅勤務ですが、仕事が終わると予想以上に疲れているという方も多いのではないでしょうか。
また長時間座ることを想定せずに設計された椅子で仕事をするなどの環境要因に加え、どこに達成感を持って良いかわからないという、気持ちの面での問題も関係しているといいます。
さらに、仕事をする中での情報の処理方法にも違いがあると言います。
Beforeコロナの時代は、主に目で多くの情報を取捨選択し、必要だと判断した情報だけを脳まで届けていました。しかし、在宅勤務制度と共に、テレビ会議が導入されたことにより、耳から入った情報が脳までたどり着いて、やっと取捨選択するという、脳の選択になりやすい状況のため、疲れやすいのも当然だと言います。
在宅勤務で集中するコツ
ここからは、井上氏にお話しいただいた集中するための3つのコツをご紹介します。

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1.自分の集中できる時間帯を知る
集中できる時間を朝方と夜型に分けた場合、ほとんどの日本人が朝方だということが、遺伝子検査で分かっているようですが、その中でも、より集中できる時間は人によって違います。
井上氏は、自分は夜型だと思っていたが、実は朝方だったということがJINS MEMEを使って過ごすことで初めて分かったそうです。
JINS MEMEを使わなかった場合も、思い込みを除けば、おおよその集中できる時間は私たちでも知ることができると言います。
井上氏曰く、時間が短く感じることが集中出来ているサインとのこと。
どの時間が短く感じるのかを何日か意識することで、自分の集中できる時間を知り、さらに、集中できる時間には会議を入れない、スマートフォンの画面を裏返しにしておくなどの工夫により、集中をより深く、長く保てるそうです。
2.「迷う時間」を決めておく
クリエイティブな仕事で「迷う時間」と、淡々と作業に向かう「迷わない」時間を分けるのも良いと言います。
迷う時間は、迷うことが出てきた時に設けるのではなく、あらかじめ時間を決めておくことで、生産性の向上が期待できます。
さらに、「迷う」時間になったら、「迷わない」時間を過ごしていた場所とは違う場所で、また、歩きながら考えるのもおすすめ。
この方法は、JINS MEMEを使用した検証結果でも、その効果が明らかになっているそうです。

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3. 視覚と聴覚以外のスイッチを持つ
仕事と私生活の境界線を持ちにくいという問題に対しては、視覚と聴覚以外で切り分け方法を持つことが重要だと言います。
井上氏は、仕事中とそれ以外でアロマの香りを変えるなど、嗅覚を使った切り替えや、お風呂に複数回入って、身体全体での切り替えを行うそうです。
サードプレイスの役割
「Withコロナでは、セカンドプレイスであった職場を追いやられて、ファーストプレイスの自宅に集約されているというのが現状。これからは、サードプレイスも必要になってくる」
と訴える井上氏。
これは、在宅勤務が続くと、発想力が落ちてくるという課題の解決にも通じます。
井上氏は「イノベーションを起こすためには、知識の範囲を広げる ”知の探索” と、一定の分野での知識を継続して深める ”知の深化” が必要となります。その二つを高めていくことで、イノベーションを起こせる可能性が上がる、という研究結果もある」とし、
さらに「Think Lab のような、家事や育児で、忙しない生活をしている人でも、ここにいれば自分でいられるという良質な1人の時間を提供する場所。 また、WeWork のように、人がいることのパワーを感じて、モチベーションを上げて働ける場所。どちらもサードプレイスではあるものの、 ”知の深化” と”知の探索”が叶えられるという意味でも、両方が1人の人にとって必要な時間」とサードプレイスの必要性についてもお話しいただきました。
最後に
40人を超える参加者も、チャット機能を使って、実際に抱えている悩みの相談をするなど積極的は姿勢で参加されており、また、誰もがすぐに取り入れられるティップスを持ち帰ることも出来た、内容の濃いイベントとなりました。今回のように、WeWork では、様々な業種に共通する課題解決のヒントになるようなイベントを、毎月開催していきます。
井上 一鷹 氏経歴
1983年生まれ。大学を卒業した後、戦略コンサルティングファームにて事業戦略、技術経営戦略、人事組織戦略の立案に従事。その後、株式会社ジンズホールディングスに入社。JINS MEMEの事業開発を経て、株式会社Think Labの立ち上げ、取締役を務める。執筆もしており、代表作に「集中力 パフォーマンスを300倍にする働き方」がある。