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2020.07.20

働き方のニューノーマルを考えるVol.2 テレワーク時代のコンプライアンスと国内外ケーススタディ

イベントレポートオフィス分散働き方改善イノベーション創出

WeWork (ウィーワーク) は2020年6月4日から約1カ月間にわたり「働き方のニューノーマルを考える オンラインフォーラム」 を実施しました。このフォーラムでは「withコロナ、afterコロナにおいて、働き方やビジネスをどのようにシフトさせていくべきか」をメインテーマに、毎回 WeWorkイベントパートナー企業をお招きし、それぞれの専門分野から意義ある情報をシェアしていきます。

 

フォーラム第2回は「テレワーク時代のコンプライアンスと国内外ケーススタディ」。

オリック東京法律事務所の矢倉信介弁護士、杉田泰樹弁護士に、テレワークにおけるコンプライアンスの注意点などをレクチャーいただきました。

 

寸劇で紹介!コンプライアンス

矢倉氏と杉田氏はそれぞれ「クロスボーダーの訴訟・仲裁、知財およびコンプライアンス案件、クロスボーダーM&A、JV、ベンチャーキャピタル案件などを扱っています。

今回、堅い話になりがちな「コンプライアンス」というテーマを、テレワークという切り口で、寸劇を交えて分かりやすくお話しいただきました。


設定 : 遠野 勤 役(杉田氏)/ 金比羅法子 役(矢倉氏)

遠野 勤 役(杉田氏): テレワーク中の遠野氏は、IT企業「ハードバンク」の経営企画部員。海外子会社の統括業務を行う。緊急事態宣言が解除された今も基本的に自宅からテレワークを行うが、変化した業務内容に戸惑いながら悶々とする日々を送る。

金比羅法子 役(矢倉氏): コンプライアンスに厳しい金比羅氏は、同じく「ハードバンク」のコンプライアンス・法務部のベテラン社員。事業部の無茶な依頼にもめげず、いつも前向きに仕事に取り組んでいる。

では、遠野氏が金比羅氏に寄せた法律相談を見ていきましょう。

テレワーク社員の情報漏洩は大丈夫?

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ある日、テレワークをする遠野氏から金比羅氏へ、「機密情報の管理」について相談がありました。

遠野氏「テレワークで会社パソコンを持ち帰っているんだけれど、動きが遅いこともあって……。自分のパソコンを使って、カフェなどの別の場所で仕事をしたいのだけれど、大丈夫?

金比羅氏が情報漏洩の観点から指摘した想定リスクは以下の4点。

  • 個人情報の安全管理措置義務違反
  • 守秘義務違反、秘密情報の漏洩
  • 内規違反による懲戒事由
  • 役員の個人責任(善管注意義務違反)

金比羅氏「カフェのような空間ではふと気が緩んでいろいろなことを話してしまいがち。そのため、公共の場ということを忘れて機密情報を口にしてしまうことや、画面をのぞかれてしまうリスクがあります。仮に情報が漏洩した場合自社のノウハウなどの価値が失われてしまったり、取引先との秘密保持契約などに違反する恐れがあり、その場合、会社として遠野氏個人に対して『やるべき対策をしていたのか』を問われることになります

さらに会社側が取るべき措置として、

  • 情報セキュリティー対策(適切なルールの策定、人的管理、技術的対策)
  • コンプライアンスの観点を持つ
  • 諸外国の動向を注視する

を挙げながら「テレワークにおけるコンプライアンスの意識を組織に広めていくためには、自社の置かれた状況と照らし合わせながらオーダーメードの仕組みをつくり上げていく必要がある」「社員からこのテレワーク時代に合致したニーズをきちんと聞き取り、そのニーズに合ったガイドラインを策定するとともに、そのガイドラインを適切に実行し、実行したことを証拠化していく必要がある」と答えました。

テレワーク時の労務管理のあり方

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遠野氏から寄せられた次の相談は「テレワーク時の労務管理」について。

遠野氏「うちは共働きで、幼稚園に通う子どもがいます。新型コロナウイルス感染拡大の第二波が来て幼稚園が閉鎖になったら、子どもを見るときの夫婦間のシフトも変わるかもしれない。例えば、夫婦交代で深夜や早朝にテレ作業をすることを考えたら、会社としては対応をしてくれる?

金比羅氏「雇用者の義務として、会社は社員の労働時間を適正に把握・管理しなければいけません。同時に『社員の健康確保』の観点からも、労働時間の状況を把握する義務があります。その大前提があるからこそ、深夜・早朝の労働を認めることが不適切な場合もあります。社員側には、会社のそうした“大前提”を理解してもらう必要があります。また、コンプライアンスの観点からは、会社がこれらの義務を適切に履行しているか、そのための記録、証拠化ができているかという点も重要となります

ではテレワークでの稼働時の労務管理とは具体的にどのようなものなのでしょうか。

金比羅氏によれば、「労務管理は賃金支払の算定の根拠という点で重要ですが、さらに、適切な勤務評定・人事評価にも関連する部分であり、単なる「何時間か」という時間の点のみならず、いつ、何をしたか、といった実質面の管理も含む、「適切な労務管理」の観点での制度設計も重要となってくる」とのこと。

金比羅氏が提示するのは次のような施策でした。

  • 適正な労働時間管理方法
  1. ・テレワークの趣旨、目的への理解
  2. ・ルールの策定、告知、トレーニング
  3. ・適時の時間報告、オンラインツールの利用
  4. ・定時のチームミーティング、ラップアップなど
  • テレワークに伴う諸経費の精算
  1. ・一律の手当支給もしくは都度精算
  2. ・就業規則の変更

「諸経費の精算」に関連して、金比羅氏は「社員が自宅作業で使ったプリント用紙・インクなどの精算にも社内規定を設け、リストアップ化しておくのがよい」とアドバイス。

会社の担当部門が社員の働き方の変化に対応し、それをしっかりと「明文化・ルール化」しておくのがベターとのことです。

実はコンプライアンスリスクが高い!オンライン飲み会

遠野氏の相談は、流行している「オンライン飲み会」での注意点、さらには「社員が新型コロナウイルスに感染した場合の対応」にまで及びました。

遠野氏オンライン飲み会にも、法的観点からリスクはあるんですか?

金比羅氏「リラックスした雰囲気は親睦を深めるにはプラスだけれど、業務とプライベートの境界が不明確になりがちな点に注意が必要です。特にパワハラ・セクハラを含む不適切な発言に気を付けなくてはなりません。

また、たがが外れることで個人情報や他人の機密情報を漏洩させてしまうリスクもあります。『気が緩んだからついつい……』で済まされるものではなく、特にオンライン飲み会は録画や録音などの記録機能があるため、『言っていないよ』では逃れられません」

レコーディング(録画・録音)については、オンライン飲み会だけでなく、オンラインミーティングやウェビナーなども同様に、「肖像権やプライバシー保護の観点から、録画することや使用目的などを事前告知するべき」「オンライン会議システム、SNSの利用指針などを策定すると同時に社員の教育・トレーニング実施も忘れずに」と金比羅氏は教示しました

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もしも社員が「陽性」と判定されたら……。

金比羅氏は「公表のあり方」として、次のように整理し説明します。

社員に新型コロナウイルス感染の事実が発生した場合の対応

1.社内告知

2.取引先、近隣テナントへの連絡

3.ニュースリリースなどの外部公表

金比羅氏本人およびその家族がコロナ感染した事実は、あくまで『個人情報』。しかも、特にその取扱いに配慮が必要な「要配慮個人情報」と理解されています。したがって、最大限の配慮の下で公表の要否とその内容について検討する必要がありますが、民間企業における告知・公表を課す法律はありません。つまり、法的に決められた対応があるわけではなく、個人情報保護・プライバシー配慮を大前提としながら、自社従業員への安全配慮義務(感染拡大予防措置)の履行、顧客・取引先の保護などを考慮しつつ、さらに消費者・メディアの関心にも注意を払うべきです。上記を踏まえ、会社ごとにバランスのとれた対応が必要となります

 

こうして寸劇によるレクチャーは終了しました。

テレワークやオンライン飲み会など新しい働き方やコミュニケーションの可能性が広がっていますが、それは必ずしもポジティブな面だけでは語れません。

新たなリスクにも目を向け、上手に取り入れていくには、コンプライアンス(法的知見)から会社の仕組みや制度を、今一度見直す必要があると言えます。

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