マイクロソフト社・WeWork イベント資料
2020.11.13

コロナ禍で変わった、オフィスの役割。お客様とコラボレーションできる環境・フレキシブルオフィスへ

イベントレポートオフィス分散働き方改善

今年の新型コロナウイルス感染症対策で変わってきた日本企業の働き方。「オフィスはどうあるべきか」物理空間に対しての視点も変わってきています。

前回に引き続き、日本マイクロソフト社のエグゼクティブアドバイザーである小柳津 篤さんとWeWork Japan の髙橋 正巳との、これからのオフィスの役割やサテライトオフィスについて対談をご紹介します。

本記事は、イベントレポート第3弾です。第1弾・2弾の記事は以下よりお読みいただけます。

オフィスの役割が変わってきている?100%物理空間で済ますことはもうない

WeWork Japan 髙橋:
オフィスのあり方も関連してくると思いますが、すべての企業がマイクロソフトほど先進的にずっと取り組んできたわけではないので、今回のコロナ禍でガラッと変わらざるを得なかったというところがあると思います。
我々にいただくお問い合わせとしては「オフィスが今までのように使われなくなった」、「オフィスは維持したいがやっぱり役割が変わってきた」ということです。

本日のキーワードの1つは「コラボレーションを促すようなスペースを設ける」

我々が考えるオフィスの役割というのは、アウトプットだけを出すのであれば、それぞれがアウトプットを出しやすい環境に、各々移ればいいと思うんです。ですがインプットも必要ということで、新たな発想が生まれるなどそういった環境を提供することが重要かと思っています。これは一般論でマイクロソフトの話ではないですが、小柳津さんの観点からオフィスの役割は今回のコロナ禍でどう変わったと思われますか?

マイクロソフト 小柳津さん:
前半の話にも出てきましたが、私達品川に今本社を構えていて、ちょうどコロナとドンピシャのタイミングでオフィスの内部のリニューアルをしています。ただ、コロナで資材も物流もみんな伸びてしまったので全部延期したんですが、ただやりかけているんですね。その計画は全部、当たり前ですがコロナの前に計画していましたので、このコロナ禍によって実は私達自身が物理空間の考え方を今ひっくり返して考え直し中です。

そこで出てきた2つの視点がありますのでご紹介したいと思います。

1つは元々我々「いつでも、どこでも」働いてましたが、明らかに圧倒的にもっとフレキシビリティが高まるという現象はほぼ確実に起こるでしょう。

今まで私達は品川オフィスの13フロアを使ってましたが、社員のフレキシビリティが高いため、3フロアは返して10フロアにしました。しかし、全然スカスカなのではないかというぐらい社員のフレキシビリティがこのコロナ禍でもっと高まっています。ですからオフィスの物理空間に与える意味をまず変えました何かというと、どうせ社員はあまり来ないのだから圧倒的にお客様とコラボレーションできるフロアにしっかり作り替えよう、というのが1つの道です。

マイクロソフト社・WeWork イベント資料.2
イベントの様子

もう1つの視点は、品川オフィス=物理空間ですから物理空間でいかにお客様と交流するか、コミュニケーションレベルを高めるかということしか考えていなかったのですが、私達の毎日がそうであるように100%物理はもうないなと。

つまり、すべてのコラボレーションは物理とオンラインのハイブリッドであることを「大大大前提」にするというのが今コロナ禍の前と全く違う考え方です。ですから、今お客様に対してのフロアを広げるだけではなく、お客様の接点として考えていた部屋・フロアも、全部オンラインと面談がハイブリッドであることを前提に全部作ろうとしています。ここはものすごく物理空間に対して解釈が変わったところです。ですからこの2つは明らかにコロナの前では全く計画していなかったことが、コロナの経験によって大きく視点を変えた「2つの要素」と言えると思います

WeWork Japan 髙橋:
一部オフィスのフロアを返すことによって、その分のコストが浮いてくると思うんですが、また違った形でそのコストを利用していることは何かありますか?

マイクロソフト 小柳津さん:
もちろんです。そのオフィスをリニューアルする費用も掛かっていますし、新しい先端のデバイスやセンサーやいろいろなものをたくさん装備していますので、そこは当然かなりコストが掛かりますから、そこの補填というかトレードオフに使っているということですね。

契約形態も自由なサテライトオフィスへの期待

WeWork Japan 髙橋:
サテライトオフィスなどは設けられているのですか?

マイクロソフト 小柳津さん:
要望はありますが、現在物理空間としてどこか持っているかというと持っていません。

逆に言うと、いろいろな場所での利便性と安全性を保証しているので、個人の裁量で家だったり、私だと図書館だったり、私の同僚だと美術館に行ったりしています。うちの社員で WeWork を個人で借りてる人もいますし、そこはむしろその人の用件や家族との関係やお客様との事情なども含めて会社側からあまり物理空間を「ここ、どこどこ」と、あまり指名するよりは、トータルとしての利便性と安全性を保証した方がいいのではないかという考え方です。

WeWork Japan 髙橋:
同じように物理的な本社のスペースをギュッと、例えば半分にするなど何割か返して、その浮いたコストで例えば「サテライト的な拠点を設けたい」、そういったところで WeWork にある空間を使いたいというお話を最近いただいています。

そこでそのコラボレーションを促したり、やはり他社との接点はどうしてもリモートになると繋がりが作りにくくなってきますので、そういったところを求められている企業が増えてきています。本当におっしゃる通り、コラボレーション、それがそれぞれの社内のコラボレーションをメインの目的として役割として、オフィスを考えられている企業が非常に増えているのかなと感じています。

マイクロソフト 小柳津さん:
先ほど申し上げた通り、我々も品川オフィスで働く時間が相対的にすごく減っています。ということは必ずどこかで働いている場所が必要で、そういう意味では皆さんみたいなサービスというのはすごくグループ単位個人単位で使っていますね。

ですので、後半出てくるかもしれませんが、我々利用者から見ても契約形態・支払い形態・活用形態がもうあると思いますが、さらにいろいろなバリエーション・組み合わせとタイミングとサービスの中で使えると、我々みたいな本当にフレキシビリティを求めているような会社からすると期待値がすごく高いだろうと思います。

企業が社員のサテライトオフィス活用を支援するには

work place イメージ
Freepik

WeWork Japan 髙橋:
参加者より質問が来ております。

「個人が判断してサテライト空間を利用する費用について、会社としてのサポートはありますか」

マイクロソフト 小柳津さん:
これは一律ではないですよね。ビジネスニーズがあって、それに支払うだけのちゃんとコストプールがあって、会社のオペレーションとして回っているのであればそれは支払いますよね。ですから一律に WeWork を契約して良いとか悪いとかいうルールはないです。あくまでもビジネスニーズがあり、判断するプロセスがあって、コストプールがあるということです。

必要があればもちろん出しますし必要がなかったら認められない。必要があれば我々はカラオケボックスだろうがどこだろうがちゃんと経費を落とします。そこには必要性があるかないかということですね。

浮いた出張費で社員にリモートワーク補助費が「なんぼでも出せる」?

WeWork Japan 髙橋:
多くの企業ですと、なかなかこうコロナ禍までそういった予算は考慮されてこなかったと思うのですが、お話しされる企業の中には、そういったのを来年以降予算に組み込んでいかれる動きというのはありますか?

マイクロソフト 小柳津さん:
もちろん伺ってます。我々も例えばコロナ禍でみんな移動できなくなりましたよね。そうすると都内でタクシーに乗ってない、新幹線で大阪・名古屋に行っていない、そもそもあんなに何回も行っていた本社に行っていません。

実は莫大な経費が浮いています。シェアオフィスのチャージ量なんて申し訳ないですが「なんぼでも払うぞ」ぐらいな。業務側のコストというのは、これまで「1年に3回必要だからいくら」「何回大阪に行くからいくら」など予定調和の中である種プールされています。

それまで予定調和の中で粛々と計算してきたようなものが、実は一気に別のバランスで組み直したり、付け直すような時代に来ていると思いますので、会社側も皆さんのようなサービス提供者も上手く見ていく必要があるのだろうと思います

社員と同じようにお客様とコラボレーションできる空間がTeamsで実現。企業同士が接続できる機能も

WeWork Japan 髙橋:
続いて以下の質問が来ています。

「お客様とのコラボレーション」という話をされていましたが、お客様とコラボレーションできる空間というのは具体的にどのようなものになりますか?

マイクロソフト 小柳津さん:
これを視聴されている方がご存じかどうか分かりませんが、私達のコラボレーションの環境で Teams という環境があります。これはチャット・テレビ会議・文書管理・いろいろな情報共有もできる、グループウェアみたいなものです。

もちろん会社ごとに導入していますが、導入した会社同士で接続を認め合うことができます。ある種の信頼関係を結ぶことができて、違う会社の人とのやり取りなのですが、すごくセキュリティが保証された上で、Teamsの中で許されているチャット・テレビ会議・文書管理がみんなできるという環境があります

これがいくつかのお客様と繋がっています。そうすると最初は社員と同じようにお客様が繋がっているので、これは果たして良いことかどうか迷いがありましたが、すぐに慣れました。

ですので、社員が私にいつでもどこでも話しかけたり、私からも話しかけるかのように、実は一部のお客様は私とリードタイムがほとんど無く、いろいろな活動がシェアできるということが起き始めています。

これは捉え方がいろいろとあると思いますが、マーケティング活動・営業活動として捉えたときにものすごい効果があるわけです。お客様から見れば常にメーカーの人が見えている状態で、いろいろなことにすぐアドバイスをもらったり、ときには資料をもらったりできています。

当然、忙しいときには後回しにせざるを得ないですが、それでもかなりのタイミングでかなりの確率でやり取りが成立していますので、これは今までみたいにメールを書いて「いつもお世話になっております」から始めて「○月○日のご予定はいかがでしょうか」などやっている時代に比べるとものすごくタイミング的にもスピード感も満足度も高いです

こういう環境が、「全員ではないですがその許されたお客様との中ではもう起きている」というのが先ほど申し上げたお客様との繋がり方ということです。

生身の人間同士、オンラインで代替できないオフラインコミュニケーションの最大の価値とは

Video call conference, working from home, social distancing, business discussion on the laptop screen. Vector flat illustrations.
Freepik

WeWork Japan 髙橋:
最後にオフラインのコミュニケーション、先ほどオンラインとオフラインのハイブリッド型になっているというお話があったと思います。このオフラインのコミュニケーションの1番の価値やその目的は、ズバリなんだと思われますか?

マイクロソフト 小柳津さん:
それはなんと言っても人間関係でしょう

オンラインでももちろん人間関係繋げることも大事です。それもできることも実証してますがやっぱり我々五感を持った生身の人間なので、物理空間で五感と五感で繋がり合える五感と五感で同じ空間にいて殴り合ってたら話にならないですが、五感と五感で同じ物理空間で信頼関係・コミュニケーションレベルを上げられるのであれば、それは絶対にオンラインでは大体できない。面談の価値ですよね

それを我々は否定しませんし、それが必要なときにはあった方がいいと言っています。最後に一言申し上げたいのは、では「オンラインでやるのは物理的な空間を超えるだけか」と。たしかに物理的な空間を超えられますが、でもそれだけではないですよね

例えば発話量が分かったり、お互いの表情から感情を数値化できたり、ときには相手の体温が分かり、ジェスチャーができる、しゃべったことを文字に起こせる、しゃべったことを多言語化できる、しゃべったことをグラフ化できる、などこういうことも含めて映像に残っている顔の表情や声や共有されたスライドみたいなものが、物理空間では味わえない、またいろいろなメリットがデジタルコントロールの中で使えるのです。

今はコロナ禍でとにかく「会社に行かなくても仕事しなきゃ」や「家から会議しなきゃ」という物理空間を超えるという意味でのテレワークばかり喧伝されていますが、もっと先に良いことがあるんです。物理空間を超えるだけではないのです。もっといろいろなことがたくさんできます。

そこも含めて五感の人間関係の良さも含めて、両方やればいいのです。一番怖いのはコロナ禍に段々と慣れてきて、私の周りでも最近いますが、現地・現物・現場・面談・至上主義に段々戻そうとするおやじ達が世の中にはいっぱいいて、「ほらやっぱりリアルで会った方がいいだろう」と。会うかオンラインかの二元論しかない。五感のコラボレーションの良さも認めますが距離を超えるだけではない物理空間での良さがすごくあって、だから「両方やりませんか」ということです。

WeWork Japan 髙橋:
オンラインはさらにこれから進化していく、ということですよね。

マイクロソフト 小柳津さん:
もちろんそうです。これからプログラムやアバターなど出てきます。それこそ私がいなくてもいるかのように会議が成立したり、私のアバターが3つの会議に同時に出たりということが実は社内で実験的に行われています。そういう時代も来るわけです。

そうすると五感の物理空間のみにしがみついているよりは、良さは認めながら両方できた方がいいのではないかというのが実感として感じることです。

最後に

WeWork Japan 髙橋:
いろいろなお話がありましたが、重要なポイントはビジネスニーズというところが1つあったと思います。ビジネスニーズがあるからこそその働き方の多様化、というものがそこから出るということです。その手段が先に来てしまってテレワークというよりは、やはりビジネスとしてそれから経営判断としてテレワークの導入だったりリモートワークの導入だったり、そういったものがあるべきなのか。

コラボレーションも、そこをいかにこうKPI化するか、仕組み化するかと行動の変容というものを促すか、そういったところが本日お話を伺っていて非常に参考になったポイントです。いろいろな試行錯誤があったとお話を伺って非常に感じましたし、非常に貴重なお話をうかがえました。改めて本当にありがとうございました。

現在もまだコロナ禍にあります。これからも意識されていく働き方の多様化、テレワークからのオフィスと人間関係のあり方を今後も考える必要がありそうです。


小柳津 篤さん 経歴
日本マイクロソフト株式会社エグゼクティブアドバイザー。1995年にマイクロソフトに入社、2002年より生産性向上やワークスタイル変革に関するプロジェクトをサポート。2009年からはエクゼクティブアドバイザーとして働き方改革に関する多くの提言を行っている。2014年より働き方改革推進の国民運動である「テレワーク月間」において実行委員を務めている。

髙橋 正巳 経歴
WeWork Japan 最高戦略責任者。ソニー入社しシリコンバレー勤務を経て、2014年にUber Japan に 入社。執行役員社長として日本での事業展開を牽引、東京でUber Eatsを立ち上げ、WeWork Japan へは2017年に入社。2020年より現職。最高戦略責任者として日本事業の戦略立案に携わっている。

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